下記の日経新聞および産経新聞の報道によると、「経済安全保障法制に関する有識者会議」の第2回が開かれ、秘密特許制度を含む経済安保法案について議論がされたそうです。
経済安全保障法制に関する有識者会議は下記で資料が公開されているようです。
そのうち、秘密特許制度については、下記の資料に詳しく論点がのっています。
第2回 令和3年12月28日
資料10(PDF/1,006KB)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/dai2/siryou10.pdf
資料11(PDF/479KB)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/dai2/siryou11.pdf
資料12(PDF/333KB)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/dai2/siryou12.pdf
秘密特許制度の制度設計にあたり、論点は下記になるようです。
(1)秘密特許制度の対象となる発明は何か。
各国下記の発明を秘密特許制度の対象としているようです。
アメリカ | イギリス | ドイツ | |
対象となる発明 | 国家の安全を害する虞がある場合 | 国の安全保障又は公共の安寧に害が及ぼされ るおそれのある情報を含む場合 |
国家機密に相当する発明 |
(2)機微発明の選定プロセスの在り方
以前の報道では、新設される「経済安全保障担当室」(仮称)が秘密指定の審査を行うことがうわさされていました。
主要国では特許庁が一次スクリーニングをしたのち、主幹官庁で最終スクリーニングを行う手続きのようなので、日本でも特許庁が一次スクリーニングをしたのち、「経済安全保障担当室」(仮称)が最終スクリーニングをするんでしょうか。ただし、有識者会議の議論を見ると、最終スクリーニングを防衛省とするのかその他にするのか、まだ決まっていないようにも読めます。最終的にはどのようになるか見守る必要がありそうです。
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(3)機微発明の選定後の手続と漏えい防止措置
まず秘密指定の期間と延長をどうしていくかがポイントになりそうです。主要国は1年ごと秘密指定を再審査し、1年ずつ延長してくようです。
また秘密指定したのちに、特許出願の一定の状態で審査を凍結するのか(米国・イギリス型)、登録まで行うのか(ドイツ型)の選択があるようです。こちらもどうなるか見守る必要があります。
また、前記の報道にもありますが、違反した場合に一定の罰則がつくことになりそうです。
(4)外国出願制限の在り方
やはり第一国出願と外国出願制限はつくことになりそうです。
一方で、第一国出願の対象を、①国内で創出された発明とするのか(米国型) or 自国居住者が創出した発明とするのか(イギリス型)、②全出願を対象とするのか(米国型) or 秘密特許となりうるものを対象とするのか(イギリス型)については主要国で別れるようです。こちらはグローバルに出願する際の出願国の選定にも大きくかかわるところなので興味があるところです。
主要国では、一定期間の外国出願の制限と違反時の罰則があるそうです。米国では確か違反の場合は特許無効の可能性もあったかたとおもいますが、こちらもつくのかも見守っていきたいところです。
一方、米国などはForeing Filing Licenseという外国出願が可能である旨の許可を出願人の申請により早期に発効してくれる制度もあります。最近はグローバルで国をまたいで出願が発生することもありますので、ここら辺のフレキシビリティも制度上あるといいなと思います。有識者会議の中では、日本では事前相談制度を設ける方がよいのではないかという意見もあったようです。
アメリカ | イギリス |
国内で創出された発明に第一国出願義務が課される | 自国居住者の創出した発明に第一国出願義務が課される |
上記の全発明に第一国出願義務が課される | 対象を限定して第一国出願義務が課される |
(5)補償の在り方
主要国では、秘密特許には一定の補償があるそうです。
有識者会議では補償を付ける方向で異論がない状況で、その範囲をどうするかが主要な論点のように読めます。
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