2022年1月5日発売の年報知的財産法2021-2022を早速購入しました。
仮となっていた中山先生の論稿は、COVID-19ワクチンのTRIPS waiver等を含む特許保護と医薬品アクセスを巡る議論に関する論文で、WTOにおけるTRIPS waiverの議論や、民間主導のライセンスや権利不行使宣言の流れがまとめられていて非常に参考になりました。
特集の音楽教室も、地裁と高裁で主体認定に違いが生じた事件ですが、いわゆるカラオケ法理を巡る議論など、著作権は特許法における間接侵害の規定がないことが根本にはあるかと思いますが、興味深い議論でした。
また、日本の昨年の主な知財関係の判例だけでなく、米国、欧州、中国、韓国の昨年の知財の動きもまとまっていますので、2022年のスタートとして、昨年の知財を今一度振り返るのによい一冊でした。
内容紹介
過去1年間の判例、学説、政策・産業界、外国の動向を、いち早く捉えて解説する関係者必携の年報。重要トピックは特集ほかで解説。目次
[法政策の動き]
コロナ下における特許政策(仮)……中山一郎(北海道大学教授)
[法改正の動き]
令和3年著作権法改正(仮)……池村 聡(弁護士)
[特集]
[座談会]大激論音楽教室事件(仮)
……横山久芳先生(学習院大学教授)、安藤和宏先生(東洋大学教授)、
[司会]上野達弘先生(早稲田大学)
[2021年 判例の動向]
判例の動き……特許法・商標法・不正競争防止法
:三村量一(弁護士、元知的財産高等裁判所判事)ほか/
著作権法・意匠法:上野達弘(早稲田大学教授)
[2021年学説の動向]
1 著作権法……今村哲也(明治大学教授)/
黒田智昭(日本芸能実演家団体協議会)/
桑原 俊(早稲田大学非常勤講師、弁護士)
2 特許法……加藤 幹(大阪大学知的基盤総合センター特任教授)
3 不正競争・商標・意匠……志賀典之(常葉大学准教授)/
末宗達行(早稲田大学講師)/五味飛鳥(弁理士)
[2021年 政策・産業界の動向]
政策・産業界の動向……中山一郎(北海道大学教授)
[2021年 諸外国の動向]
1 米国における知財の動き
〔特許〕……萩原弘之(ニューヨーク州弁護士)
〔著作権〕……石新智規(弁護士)
〔商標法・不競法〕……宮脇正晴(立命館大学教授)
2 欧州における知財の動き……特許法:
アインゼル・ラインハルト
(ゾンデルホフ&アインゼル法律事務所・弁理士)ほか
/著作権ほか……駒田泰土(上智大学教授)
3 WIPOをめぐる国際動向
……宮本智子(世界知的所有権機関〔WIPO〕特許法務部特許法課)
4 中国における知財の動き
……秦玉公(金沢工業大学大学院客員教授、中国弁護士)/
蔡万里(豊橋技術科学大学准教授)
5 韓国における知財の動き……張 睿暎(獨協大学教授)