以前EUの欧州委員会が、EUの特許期間延長制度であるSPCについて議論を始めることを投稿しました。
www.patent-topics-explorer.com
4月5日までですが、意見募集が開始されています。
Medicinal & plant protection products – single procedure for the granting of SPCs
まず、Call for evidence for an impact assessment - Ares(2022)1726335で現状の問題点が列挙されてます。
[問題点]
SPCはEU全体でなく、加盟国ごとに付与されている。
[その結果生じる問題]
(1)国ごと異なる審査結果等がでる ( Divergent outcomes of the grant procedures across EU countries )
(2)将来欧州単一特許が発効した際に、欧州単一で保護するSPCがない( Lack of unitary SPC protection for the future unitary patent)
(3)SPC関連情報の透明性の低さ (Suboptimal transparency of SPC-related information )
(4)費用面や手続き面の煩雑さ (High cost and administrative burden for SPC users )
問題への解決の方向性として下記が示されています。
(1)国ごと異なる審査結果等がでる ( Divergent outcomes of the grant procedures across EU countries )
→SPC登録手続きに法的予見性をより与える
(2)将来欧州単一特許が発効した際に、欧州単一で保護するSPCがない( Lack of unitary SPC protection for the future unitary patent)
→欧州単一特許に対応する欧州単一SPCを付与する
(3)SPC関連情報の透明性の低さ (Suboptimal transparency of SPC-related information )
→SPC関連情報により透明性を与える
(4)費用面や手続き面の煩雑さ (High cost and administrative burden for SPC users )
→EUでの費用・手続きコストを低減せさせる
その解決策として、以下が示されています。
SPCはEU法に基づき決められているので(EU法が分からない場合は下記の紹介する書籍を読んでみてください)、EU法自体を改正する方法と、法律を改正せずに運用レベルで解決を図る方法が提案されています。
(2)と(4)を解決するには、法改正以外の方法がないため、どんな解決策になるかは注目する必要がありそうです。
(1) Baselineシナリオ
特に政策を変更しない
(2) 非法律的解決策シナリオ
各国特許庁のベストプラクティスや欧州連合司法裁判所(CJEU)の判例に基づくガイドラインを作成する(CJEUを知りたい方は末尾の書籍を読んでみてください)
(3) 法的解決策シナリオ (場合によっては(2) 非法律的解決策シナリオと組み合わせる)
(3-1)中央集権化したSPC制度を作る。具体的には下記のa)~c)
a) 欧州単一SPC
b) 単一のSPC取得手続き
c) a) 欧州単一SPCとb) 単一のSPC取得手続きの組み合わせ
(3-2) 各国特許庁のベストプラクティスやCJEUの判例に基づき、現在のSPCのEU法を改正する
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