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日本: 知的財産推進計画2022が決定する

 

日本の特許法関係の法改正への流れとして、おおよそ下記の流れを取ります。

 

知財推進計画策定 (内閣官房 知財戦略本部)

有識者が報告書作成 (経産省 産業構造審議会)

改正案策定

国会

 

 

一番最初の知財推進計画は今後の特許法の法改正の内容に強い影響がありますので、知財関係者は注目しているところです。

 

 

今年の知財推進計画2022ですが、6月3日に最終化されたようです。

 

www.kantei.go.jp

 

 

 

おそらく下記リンクの内容で最終化されたのだと思います。

 

www.kantei.go.jp

 

 

 

今年の内容ですが、おおよそ下記の内容になるようです。

 

1.スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化
・スタートアップが知財対価として株式・新株予約権を活用しやすい環境整備
・大学における事業化を見据えた権利化の支援
・大学等における共同研究成果の活用促進
・「大学知財ガバナンスガイドライン(仮称)」の策定と大学への浸透 等
2.知財・無形資産の投資・活用促進メカニズムの強化
・企業の開示・ガバナンス強化と投資家の役割の明確化
3.標準の戦略的活用の推進
・官民一丸となった重点的な標準活用推進 等
4.デジタル社会の実現に向けたデータ流通・利活用環境の整備
・データ取扱いルール実装の推進 等
5.デジタル時代のコンテンツ戦略
・Web3.0時代を見据えたコンテンツ戦略
・デジタル時代に対応した著作権制度・関連政策の改革 等
6.中小企業/ 地方(地域)/農林水産業分野の知財活用強化
・中小企業の知財取引の適正化 等
7.知財活用を支える制度・運用・人材基盤の強化
8.アフターコロナを見据えたクールジャパンの再起動

siryou1.pdf (kantei.go.jp)

 

 

岸田総理の新しい資本主義ではスタートアップの保護をしていくようなので、そちらが前面に押し出されているようです。

 

 

ひとつだけ気になるのは、日経でも出ていましたが、大学と企業の共有特許を一定期間企業の利用がない場合は、第三者にライセンスできるようにすることを法改正を含め検討するというところですかね。

 

 スタートアップの事業化に向けて大学等の保有する知的財産を最大限活用
できる環境を整備するため、大学等と企業との共有特許について、企業が一定
期間不実施の場合に、大学等が第三者にライセンスすることが可能となるよ
う、共有特許の取扱いルールの整備に向け、法改正を含め検討し、2022 年内
に結論を得る。併せて、大学等と企業の共同研究の成果を大学等が活用しやす
くするため、大学等が過度に企業側に知財関連コストを負担させなくても済
むよう、大学等の知財関連財源の充実を含め大学等への支援の在り方につい
て検討する。その際、大学等の知財マネジメント能力の向上や知財マネジメン
ト人材を擁する外部組織との連携、インセンティブ設計等についても検討す
る。

siryou2.pdf (kantei.go.jp)

 

 

 

下の図から明らかなように、米国の大学は圧倒的に単独出願が多く、日本は共同出願の割合が大きくなっています。

 

知的財産推進計画2022より抜粋

siryou2.pdf (kantei.go.jp)

 

 

共同出願の取扱いはどこの国であっても面倒なので、米国は大学が自分で単独出願し利用を促進している状況かと思われます。

 

日本も利用を促進したい場合、大学の単独出願の割合を高めるべきで、共同出願の規定に手をつけるのはどうかなと思われました。

 

最悪の場合、企業が日本の大学との共同研究を割け海外の大学等と共同研究を行うようになり海外に資金が流出、日本の大学は資金流入が減りより一層単独出願が難しくなる、最終的にはスタートアップに日本の大学がライセンスする特許がなくなっていく。。。というような負のループにならなければいいなと思われました。