英国知的財産局から、「Artificial Intelligence and IP: copyright and patents」に関するコンサルテーション結果の報告書が発表されました。
こちら、2021年に英国知的財産局は、(1)AIによって作られた著作物の著作権、(2)著作物を利用したテキストマイニングやデータマイニング、(3)AIによる発明の特許、などを対象としたAIと知的財産に関するコンサルテーションを実施していました。このコンサルテーションは2021年10月29日から2022年1月7日まで行われていたそうです。
今回の報告書は、(1)AIによって作られた著作物の著作権保護、(2)著作物を利用したテキストマイニングやデータマイニング、(3)AAIにより生み出された発明の特許保護にフォーカスしています。
まず、(1)AIによって作られた著作物(computer-generated works (CGWs))の著作権保護についてですが、英国知的財産局は法改正の予定がないことを明記しました。もともと英国ではAIによって作られた著作物の著作権(CGWs)が他の国と異なり著作権の保護対象となっていますが、こちらが有害である証拠もない一方、AI利用はまだ初期段階で今後を注視し判断することになったそうです。
For computer-generated works, we plan no changes to the law. There is no evidence at present that protection for CGWs is harmful, and the use of AI is still in its early stages. As such, a proper evaluation of the options is not possible, and any changes could have unintended consequences. We will keep the law under review and could amend, replace or remove protection in future if the evidence supports it.
次に、(3)AIにより生み出された発明の特許保護についても、法改正の予定はないことが明記されました。人間の関与なしにAIのみで発明が生まれる可能性が引くことを多くの回答者が指摘したことが理由のようです。
For AI-devised inventions we plan no change to UK patent law now. Most respondents felt that AI is not yet advanced enough to invent without human intervention. But we will keep this area of law under review to ensure that the UK patent system supports AI innovation and the use of AI in the UK. We will seek to advance AI inventorship discussions internationally to support UK economic interests.
今回、唯一法改正が示唆されたのは、(2)著作物を利用したテキストマイニングやデータマイニングでした。「テキストとデータマイニングについては、著作権とデータベースの例外を新たに導入し、あらゆる目的でのテキストとデータマイニングを可能にする予定です。」とのことです。一方、「権利者は、合法的なアクセスに関する要件など、コンテンツを保護するためのセーフガードを引き続き持つことになります。」のようです
For text and data mining, we plan to introduce a new copyright and database exception which allows TDM for any purpose. Rights holders will still have safeguards to protect their content, including a requirement for lawful access.
今後、どのような規定が導入されるのか注目していく必要がありそうです。