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日本: 2022年弁理士試験2次試験(特許・実用新案)の【問題II】の設定が面白い

 

7月3日(日)は弁理士試験2次試験だったんですね。

受験生の皆様お疲れさまでした。

 

弁理士試験会場は冷房を入れてくれなかった記憶があるのですが、今年は梅雨も明けてしまっていて猛暑の中、受験生の皆様は大丈夫だったのでしょうか…?

 

www.jpo.go.jp

 

 

ちらっと問題を見てみると今回は【問題II】の設定がなかなか面白いことに気づきました。

 

事例としては、量子コンピューティングの応用に向けた研究開発を行うスタートアップ企業が複数の企業と共同開発を行う間に問題が起こったという事例です。

 

(1)スタートアップ企業Zが自動車メーカーAとEV電池の共同開発を行う

→共同開発契約で、共同開発で生じた発明は自動車メーカーAに単独帰属、スタートアップ企業は非独占実施権を有する。

→共同開発で「成分α及びβを含む正極材料」についての発明イが生まれる

→共同開発は終了

 

 

(2)(1)終了後、スタートアップ企業Zが電池メーカーBと車載電池の共同開発を行う

→共同開発契約で、共同開発で生じた発明はスタートアップ企業Zと電池メーカーBの共有

→スタートアップ企業Zが電池メーカーBに開示した発明イを元にて「成分α、β及びγからなる正極材料」についての改良発明ロが生まれる。

→スタートアップ企業Zと電池メーカーBは、発明ロを明細書に記載する特許出願Aを行ったが、特許請求の範囲には発明イのみが記載されていた。

→特許出願Aは発明イのまま特許登録

 

 

(3)スタートアップ企業Zと電池メーカーBは合弁会社を起こし、合弁会社の材料が新型EVに採用されることが決まる

→上記特許権についてZとBは合弁会社に独占的通常実施権を許諾

→自動車メーカーAから発明イに関する特許権は冒認として移転登録請求の訴えが起こる

 

shiken_jitsuyou.pdf (jpo.go.jp)

 

最近のトレンドをとらえた問題設定で弁理士試験も面白いですね!

 

ちなみに問題IIの論点としては、下記になるそうです。

 

【問題Ⅱ】 
以下の事項についての理解を問う。 
1 冒認出願の場合の特許権の移転登録請求 
特許法第 79 条の2の通常実施権 
3 独占的通常実施権者による損害賠償請求の可否 
4 訂正の再抗弁