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米国: 【注目】非特許実施主体(NPE)に詳細な情報を要求するデラウェは地裁の命令

 

今回、非特許実施主体(NPE)に、財務的利害関係者の開示の十分性を問う命令をデラウェア地裁が出したので、面白い事例なのでメモ。

 

www.fr.com

 

 

何が問題だったのか?

 

世の中には特許権を自らの事業と実施せず権利行使を主に行う会社等が存在し、いわゆる非特許実施主体(NPE)があります。とはいえ、非特許実施主体(NPE)の定義だけでも論文が一つかけるくらいなので、詳細は論文などを検索してください。

 

 

さて、NPEは特許権にかかわる事業をしておらず、実際に事業をしている人に訴訟をしかけ、金儲けだけをし、場合によっては新規の技術が世に出るのに所謂妨げになりうる場合もあります。

 

 

このNPEですが、訴訟毎に別会社を作り訴訟を行ってくる場合があり、このような場合誰が実際に訴訟を主体的に起こしているのかわからなくなる場合があります。特に、今回のIP Edgeは無名の個人を創業者としてそれぞれ会社を設立させました。さらに、その会社も訴訟地に本社の住所をもつだけのバーチャルオフィスで、IP Edgeが背後にいることを特定することが困難になっていたようです。

 

 

困ったことに、場合によっては、背後に誰がいるかわからないので、背後には同じ会社があるのに、複数の訴訟を関連する別会社から起こされ、訴訟毎に本来は結ばなくてもよい複数のライセンス契約等を結ばされるリスクもあったようです。

 

 

 

どのような命令が出たのか?

 

今回、デラウェア地裁のConnelly裁判長は、これらのペーパーカンパニーの背後にいる主要な個人または法人を特定するために企業構造を明らかにするように命令したそうです。

 

具体的には、被告は特許権者の会社情報開示が十分でないとして異議を申し立てたそうです。裁判長は、特許権者が利害関係者として不明な経営メンバーとその弁護士だけを提示している、Standing Orderに準拠していない可能性があると考えたことが理由のようです。

 

まだこの命令がどこまで情報開示に有効になるかはわからないそうですが、現状に一石を投じるものになるようです。