www.patent-topics-explorer.com
多くの知財関連の人は固唾をのんで見守っていたであろう、音楽教室の楽曲使用巡る最高裁事件の判決も出たそうです。
裁判所から判決の全文も出ています。
令和3(受)1112
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/473/091473_hanrei.pdf
簡単に言うと、論点は、音楽教室が生徒に著作権で保護された楽曲をレッスンで弾かせることによる著作権侵害の主体が、音楽教室になるかと思います。
著作権には基本的には間接侵害がなく直接侵害で攻める必要がありますので、だれが主体かというのは非常に大事になります(今回論点となっている生徒の演奏部分は一義的には(利用に該当するかは別として)主体は生徒ですが、音楽教室は主体になるかというところがポイントです。なお、今回の最高裁の論点でない、いわゆる音楽教室の教師の演奏部分については知財高裁でも音楽教室の利用主体等が認められています)。
最高裁においては、下記のように諸般の事情を考慮するとしたうえで、
演奏の形態による音楽著作物の利用主体の判断に当たっては、演奏の目的及び態様、演奏への関与の内容及び程度等の諸般の事情を考慮するのが相当である。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/473/091473_hanrei.pdf
本件の事実を当てはめた上で、音楽教室は利用主体に該当しないと判断したようです。
これらの事情を総合考慮すると、レッスンにおける生徒の演奏に関し、被上告人
らが本件管理著作物の利用主体であるということはできない。https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/473/091473_hanrei.pdf
(2022/10/25 追記)
今回の最高裁判決は「生徒の演奏部分」でした。
JASRACのプレスリリースによると、音楽教室側が知財高裁で敗訴していた「教師の演奏部分」についても上告受理申し立てがされていましたが、上告受理申し立ては不受理となり、今回の判決の論点とはならなかったようです。