下記によると、欧州司法裁判所(CJEU)が医薬品並行輸入の再包装による差し止めを認めたそう。本件は商標権に関する事件だったようです。
こちらの問題ですが、欧州連合(EU)内では薬の価格(薬価)は統一されておらず、国ごとに同じ薬でも薬価が違うという現状があります。そうすると、差益目的で、薬価が安いEUの国で薬を買い、薬価が高い国で売り、儲けようとする業者が出てくることになります。
一方で、EUではEU内での流通の自由を確保するため、いったんEU市場に置かれた商品の知的財産権は消尽する(差止め等の権利行使ができない)ことが原則となっています。
再包装した医薬品の国を跨いだEU内での転売(広く並行輸入ともいいます)についても、「(i) 再包装が輸入市場で商品を商品化するために必要であること、(ii) 商品の状態に影響を受けないこと、(iii) 再包装であることが商品上で明確であること、 (iv) 並行輸入者が再包装について製造者に通知していること、および (v) 新しい包装が商標の評判に損害を与えないこと」を条件に、過去認められてきたそうです。
For repackaged products, this is only the case if the conditions carved out by the CJEU in previous decisions (joined case nos. C-427/93, C-429/93, and C-436/93) are fulfilled. The conditions require that (i) repackaging is necessary for commercializing the goods in the import market, (ii) the condition of the goods is not affected, (iii) the repackaging is made transparent on the goods, (iv) the importer informs the manufacturer about the repackaging, and (v) the new presentation does not cause damage to the reputation of the trademark.
一方で、記事によると、今回の事件では再包装の並行輸入が認められるハードルが上がり、「並行輸入業者によって再包装が行われたと知らされた場合でも、消費者の大半が再包装品よりも再表示品を購入する可能性が低いという証拠を市場ごとに提出する必要がある」という条件が付加されたそうです。そうでない場合は、「ラベルの差替えのみ」しか認められないということになるようです。
The two CJEU decisions are good news for manufacturers, as they raise the bar for repackaging of parallel imported drugs. Importers will now have to provide proof for each market that the majority of consumers are less likely to buy relabeled products over repackaged products, even when they are informed that relabeling was done by the parallel importer. Otherwise, only relabeling will be permissible.
