今回歌詞などをアノテートしたプラットフォームを有するGeniusが、Google等が自身のプラットフォームの商用利用禁止に違反したとして、米国でGoogle等を訴えた事件が、最高裁に上告された事件がピックアップされていたのでメモ。
今回の事件のポイントですが、GeniusはGoogle等を著作権違反でなく、契約違反と不正競争で訴えている点です。
その際、米国著作権法301条には著作権は、その一般的範囲内の排他的権利に相当する普通法または衡平法に対する権利に優先するという規定があり、こちらで今回の訴えに制限がかかるかということが争点のようです。特に契約等が"排他的権利"にあたるかというところ等がポイントなんですかね。
米国著作権法301条
(a) 著作者が作成した著作物であって、有形的表現媒体に固定され、かつ、第102条および第103条に定めるもの(その日よりも前に創作されたかその日よりも後に創作されたかを問わず、また、発行されているか発行されていないかを問わない)に対する、第106条に定める著作権の一般的範囲内の排他的権利に相当する普通法または衡平法に基づくすべての権利は、1978年1 月1日以後は、本編の排他的な支配を受ける。その後は、いかなる者も、コモン・ローまたは州の制定法に基づく上記著作物に対する上記の権利またはこれに相当する権利を受けることができない。
第3章-著作権の存続期間 | 外国著作権法一覧 | 著作権データベース | 公益社団法人著作権情報センター CRIC
一方、Google等は反論で、「歌詞の著作権者からは許諾を得ているのに、Geniusは利用規約で新たな権利を創出しようとしている」と言っているところもポイントになりそうです。
In their Brief in Opposition to the petition, Google and LyricFind argued that Genius attempted to “invent new rights” by ignoring the true copyright owners of the lyrics and granting itself “copyright-equivalent” rights via its Terms of Service, even though Google and LyricFind hold licenses from the real copyright owners to reproduce and display the lyrics.
High Court Asks Solicitor General for Views on Genius-Google Copyright Preemption Case
事件の経過としては、1審と2審ではGeniusの主張は退けられています。最高裁は上告を受理するか検討しているそうですが、米国法務官に意見を求めたそうです。
一方で、アミカスブリーフではGeniusを支持するものもあるようで、Digital Justice Foundationは「Geniusはクラウドソースの歌詞アノテーションサイトで、Google等の行為でGeniusユーザーが歌詞をアノテートするインセンティブを阻害する」等と述べているそうです。
Digital Justice Foundation
著作権を離れて、利用規約がどこまで効果を持つのか、面白い事例かもしれないですね。