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米国: 当事者系の特許有効性再審理手続き(IPR)を濫用したとされる当事者にさらなる制裁

 

当事者系の特許有効性再審理手続き(IPR)を濫用したとされる当事者にさらなる制裁が課されたそうなので、メモ。OpenSkyの事件の追加の制裁の決定はこちらになるようです。

 

OpenSky

download-documents (uspto.gov)

Patent Quality Assurance

download-documents (uspto.gov)

 

 

 

事件の経緯ですが、JETRO(20221013.pdf (jetro.go.jp))など詳しいですが、簡便に下記になります。

 

まず、OpenSkyやPatent Quality Assuranceが出てくる前に、VLSI社とIntel社間で下記の係争がありました。

 

(1) VLSI社がIntel社に対して特許侵害訴訟を地裁に起こす。

(2) Intel社が当事者系の特許有効性再審理手続き(IPR)を米国特許庁に申請するが、訴訟手続きがVLSI社とIntel社の間にすでに訴訟が係属しているとして、米国特許庁審判部(PTAB)はFintivルールにより裁量により申請却下

(3)地裁の陪審評決でVLSI社がIntelに対し和解金を得られる旨の評決

 

 

ここからOpenSkyやPatent Quality Assuranceが出てきます。

 

(4) OpenSkyやPatent Quality Assuranceが、(3)の評決後に設立され、VLSI社の特許に対して当事者系の特許有効性再審理手続き(IPR)を米国特許庁に請求した。請求理由はIntel社が請求した無効理由の焼き直しといわれている。

(5) 米国特許庁の審判部(PTAB)は、審理を開始する決定をした。

 

 

ここで、OpenSkyやPatent Quality Assuranceの請求内容の無効理由はIntel社の焼き直しといわれているのに、PTABはIntel社のケースと異なり審理を開始する決定をしています。

 

ここでポイントは、VLSI社とIntel社間では訴訟がありますが、OpenSkyやPatent Quality AssuranceとVLSI社の間では訴訟がないということです。そこでFintivルールは適用されず、焼き直しの理由でも訴訟が開始される結果となりました。

 

 

一方で、OpenSkyやPatent Quality Assuranceが当事者系の特許有効性再審理手続き(IPR)を請求した理由は、VLSI社やIntel社に金銭的な要求をするためということが言われています。

 

 

そこで、米国特許庁長官のレビューが入ることになり、OpenSkyに対して、2022年10月にIPRを濫用したことなどを理由に制裁が発動されていました。

 

(6)特許庁長官が、「法律および政策に関する新たな問題、 また、USPTO および特許コミュニティにとって重要な問題」として長官レビューを行うこととした。

(7)VLSI社、Intel社、OpenSky、Patent Quality Assuranceに、特許庁長官が情報開示を命じる。OpenSkyやPatent Quality Assuranceは最小限の情報しか出さなかったとされる。

(8)IPRの濫用・情報開示の不遵守により、OpenSky特許庁長官が制裁を課す。IPR手続き内での主張や証拠提出が制限され、IntelがIPRのLead Partyになる。

 

 

今回さらに、OpenSkyとPatent Quality Assuranceを、IPRの手続きから除外する等の制裁がさらに発動されたそうです。

 

OpenSky

download-documents (uspto.gov)

Patent Quality Assurance

download-documents (uspto.gov)

 

 

 

下記のJETROの報告にもあるように、金銭の要求などの目的でIPRが利用されうることは議会でも問題視されているようです。

 

Vidal 長官、IPR 乱用への制裁に関する調査結果を上院議員に送付

20221004.pdf (jetro.go.jp)

 

 

また、Fintivルールの適用についても疑義が生じており、こちらも今後の動向を見ていく必要がありそうですね。