気になった特許の話題 -Patent Topics Explorer-

気になった特許等の知的財産の話題やニュースをピックアップしていくブログです! This blog is picking up intriguing IP topics including patents, trade secrets etc. !

 

 

米国: 2022年にNPE訴訟数は予想に反して上昇せず。インフレが寄与か?

 

Unified Patentsから2022年の米国特許訴訟の統計が発表されました。

 

www.unifiedpatents.com

 

 

景気後退時は、事業会社が特許を売却し資金化する一方、NPEが特許を買いNPEからの特許訴訟が増えると予想されていました。これは以前のリーマンブラザーズ破綻から始まった不況の時に見られた傾向です。

 

今回もコロナによる景気後退が起こった中でどのような傾向が見えるか注目されていました。

 

 

一方で、予想に反して結果は今年もNPEからの特許訴訟は大きく増えずでした。

 

2022 Patent Dispute Report — Unified Patents

 

 

理由の一つに、現在米国でインフレーションが起こり、利率が上昇しているため、国債などで低リスクで高利率が享受できることから、ハイリスクのNPEに資金が流れていかないことが挙げられるようです。なかなか面白い結果ですね。

 

Economists are once again predicting a recession in 2023. But this recession may yield a different outcome due to the nature of the recession and the changes in IP litigation over time. The 2023 recession will involve a healthy dose of inflation that will prevent the Federal Reserve from reducing interest rates and flooding the market with capital.

NPE Showcase: NPE Litigation in 2023 – What to Expect | Seyfarth Shaw LLP - JDSupra

 

 

実際に米国10年債の利回りもみても、2022年は大きなインフレが米国で起きていたことが分かります。

 

米国債 10年 (morningstar.co.jp) 2023年2月25日取得

 

 

 

NPEの特許訴訟は投資戦略の一つであり、インフレ率も大きく関与してくるというのは興味深い結果です。

 

 

今後の消費者物価指数(CPI)等にもよりますが、現在のインフレ誘導目標は5.25~5.50%と予測されており、暫くインフレ傾向は米国で続くかもしれません。

 

www.nikkei.com

 

 

米国の景気はどうなるのか、インフレ率はどうなるのか、そしてNPE訴訟はどうなるのか、2023年も注目の年になりそうですね。