米国では裁判官に基本的には定年がありません。
そんな中、米国知財高裁であるCAFCでは、Newman判事という長くレーガン大統領政権から判事を務めている方がいます。
Newman判事のご経歴などは下記などをご参照です。
さて、今回ですがCAFCの所長であるMoore判事が、Newman判事に対して"unfit her duties"として、"1980 Judicial Conduct and Disability Act"に基づく訴訟を提起したそうです。
こちらMoore判事の請求が認められると、Newman判事の引退もありえるそうです。
空いた席に、Moore判事はバイデン政権由来の判事を入れたいのではという憶測もあるようです。もしそうだとすると、民主党は特許に対してアンチパテントの傾向が強いことが多いので、CAFCの裁判の傾向が変わり得るかもしれません。
一方で、Moore判事自体は、ジョージWブッシュ政権の共和党に任命された判事ではあります。
実際にBloomberg Lawの記事でも政治的な意図をMoore判事がもっているという疑惑に対しては、否定のコメントも寄せられています。
Alex Moss, a former law clerk for Federal Circuit Judge Timothy B. Dyk and executive director of the Public Interest Patent Law Institute, said she had only learned about the complaint from a press report and hadn’t seen the document. But she said suggestions that political motivations influenced Moore don’t add up.
“The idea Judge Moore would do this out of a desire to help President Biden is preposterous,” Moss said. “Among countless reasons, it ignores the fact that she was appointed by a Republican president, George W. Bush.
Federal Circuit Chief Moore Takes Action to Unseat Judge Newman
とはいえ、もしNewman判事のCAFCの席が空くことが起きるとすると、そればバイデン政権下で起こると、民主党が任命する判事となります。実際、Newman判事はかなりのプロパテントで、アンチパテント的なCAFCの多数決となっても、反対意見をよく書いています。民主党政権任命の判事では、ここまでのプロパテントの意見をもつ判事が選ばれない可能性があるため、CAFCの判断の傾向が変わり得るかもしれません。
今後もこちらの動向には注目ですね。