ショッキングなタイトルの記事が出ていたので見てみたが、内閣府・文化庁の資料を合わせて読んでみた。実際に、下記の記事の本文でも類似性だけで決まるとは書いていないので、少し安心したのでメモ。
ちなみにこちらが記事のもとになった資料かと思われます。
https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_team/3kai/shiryo.pdf
この資料では生成AIなどのAIについて、「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階 」に分けて、著作権の適用について見解が示されているようです。
ここで、「AI開発・学習段階」は著作権の権利制限規定である著作権法30条の4にあたる場合があり、こちらの規定にあたれば原則として著作権の行使をうけない(著作者人格権であったり、30条の4で権利制限が及ばないとされる「「必要と認められる限度」を超える場合や「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」があるので注意要)ということのようです。
一方、「生成・利用段階 」において、著作権侵害の判断は、著作権法で利用が認められている場合を除き、通常の著作権侵害と同様とされており、原則同じ判断の枠組みが適用されるとされています。
AI生成画像が著作物に当たる場合、複製権の侵害といえるためには、通常の複製の判断と同様に、類似性と依拠性が必要とされており、類似性だけという記載にはなっていないように思われます。
また、類似性・依拠性は裁判所が判断しますが、これが曲者です。
例えば、類似性の判断にあたっては、ありふれた表現やコンセプトに該当する部分などは類似性の評価からは除かれるので、ぱっと見の類似とは判断が異なる場合が多々あります。
(ここら辺の判決の事例を見てもらうと、ぱっと見ではわからないなと思ってもらえるかと思います
https://www.saegusa-pat.co.jp/copyrighthanrei/1964/
https://www.saegusa-pat.co.jp/copyrighthanrei/1960/)
また、依拠性に当たっても、複製侵害となる画像を学習に使っていたらダメなのか、パラメータとしてもっていたらダメなのか、等々どこから依拠性が出るかも未だ専門家でも見解が割れている部分でもあります。
という訳で、生成AIから出た画像などであっても今までの著作権の判断をあてはめる予定で、特別な解釈はしませんというのが資料で言いたかったことかなと思われました。
一方、生成された画像が著作物であった際に、どのような場合に複製にあたるかは従来通り類似性と依拠性の有無が判断要素になりますが、どちらも法律的に専門的な判断を必要として、依拠性などは生成AIを使った時に依拠といえるか判断が専門家でも分かれているのでいろいろと見解を見てみるのもよいかもしれませんね。