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知財高裁大合議: 美容医療特許の侵害訴訟事件に関する判決要旨

 

判決の要旨(PDF:371KB)

 

2025年3月19日に予定されていたように判決が言い渡しとなった。

 

記載時点では、まだ判決全文がでていないのだが、要旨だけ見て気になる点は2つ。

 

 

(1) 事実認定の部分がどうなっているのか

 

地裁では、構成要件の3成分が、同時投与か別々に投与かで、別々に投与されたと認定され、組成物クレームを侵害しない旨判断された。

 

大合議の要旨では、「被控訴人は、上記①~③の成分が同時に含まれる薬剤を調合して被施術者に投与していた」となっていて、文言上は投与前に3成分が含まれる薬剤が調合されていたようにも読める。

 

ここは併用の論点と関わってくるだけに、事実認定とそのあてはめがどうなっているか気になるところである。

 

 

(2) 69条3項の適用と医薬の意味

 

まず、おさらいで69条3項の条文は下記。

 

 二以上の医薬(人の病気の診断、治療、処置又は予防のため使用する物をいう。以下この項において同じ。)を混合することにより製造されるべき医薬の発明又は二以上の医薬を混合して医薬を製造する方法の発明に係る特許権の効力は、医師又は歯科医師の処方せんにより調剤する行為及び医師又は歯科医師の処方せんにより調剤する医薬には、及ばない。

 

要旨を見る限り、美容医療は医薬にあたらない(本件特許発明に係る組成物は、明細書等の記載からして、豊胸のために使用するものであり、その目的は主として審美にあるとされている。その上、現在の社会通念に照らしてみても、本件特許発明に係る組成物は、「人の病気の診断、治療、処置又は予防のため使用する物」と認めることはできない。 )と一蹴された。

 

一方で、産業上の利用可能性の論点において、本特許が有効である理由では、「昭和50年の特許法改正により、医薬の発明が特許を受けられることが明確にされたこと」が一つの理由として挙げられている。

 

論点は違うが、69条3項で医薬にあたらない美容医療の発明が、29条1項柱書の産業上の利用可能性が認められる理由において医薬の発明が過去の改正で認められたことが理由に上がっていることは、判決全文でどのような内容になっているか気になる。

 

 

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