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AI時代の経営リスクを回避せよ!データガバナンスの4つの柱と経営者の責任

 

デジタル庁から、経営者を対象として、データガバナンスについてのガイドライン案の意見募集が2025年5月23日期限で始まっています。

 

www.digital.go.jp

 

 

今回のデータガバナンス・ガイドライン案は、デジタル庁が作成したもので、企業の経営者を主な対象としているそうです。

 

このガイドラインは、Society 5.0 の実現に向けて企業がDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進するにあたり、データガバナンスの重要性、実践方法、および留意点をまとめています。

 

具体的には、データガバナンスの4つの柱を示して、企業の持続的な価値向上を目指すための経営者の役割についても解説しているそうです

①越境データの現実に即した業務プロセス(自社の事業領域において、法令やルールが変化し続ける国や地域との相互運用を可能とするプロセス)

②データセキュリティ(データのライフサイクルを踏まえ、自社が直接には管理できない、共有・連携先に対するルール・技術・プロセスを組み合わせたもの)

③データマチュリティ(持続的かつ柔軟で組織的に、データを最大限に利活用できる、企業の総合的な能力)

AIなどの先端技術の利活用に関する行動指針

 

 

特に、AIなどの先端技術の利活用に関する行動指針についてみてみようと思います。

 

ガイドラインによると、生成AIをはじめとするこれらの先端技術は、企業に飛躍的な価値をもたらすことが期待される一方で、まだ発展途上であり今後急速に進化していくと予測されるため、その取扱いに関しては十分な検討と、運用中においても逐次対応方法の見直しを図ることが適当であるとされています。

 

まず、基本となる考え方としては、下記が挙げられています

 

 

 

さらに望ましい方向性としては、以下なども挙げられています。知財的には、機密情報は、入力しないよりは契約の対処を入れているところも、柔軟性が入ってきたところかなとも思われます。

 

  • 企業としての方針を開示した上で行動指針に展開し、その結果を評価して改善するというループを回し続ける
  • 結果の評価や行動指針の見直しにおいては、専門性の高いエンジニアに加え、法学、社会学経営学等の専門家を含む外部有識者の意見を反映する
  • チューニングされたAIが自社にとって「ブラックボックス」とならないように、学習に用いたデータや判断理由等の情報を資料として管理する
  • 行動指針の策定に当たっては、「AI事業者ガイドライン」を参照し、AIで利用するデータ等(個人情報、機密情報、関連するステークホルダーへの情報提供(透明性の確保)、検証可能性の確保(説明責任)、セキュリティの確保、)に関して考慮する

 

 

AIガバナンスを成功させるための経営者の役割として、以下などが挙げられています。

  • データガバナンス、特にAIガバナンスは経営者の責任であり、強いリーダーシップの下で実施すべき
  • 経営ビジョン、DX戦略、デジタルガバナンス・コードとの連動が必要
  • インシデント発生時だけでなく、通常時においても、AIを含めたデータ活用能力(データマチュリティ)向上を公表することが、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の要素として評価される可能性がある
  • AIを含め、データを最大限利活用できる体制構築が経営者の重要な責務である
  • AIが持つ価値とリスクを全社的に理解し、企業文化として定着させること

 

 

より詳しく知りたい人はぜひガイドラインを読んでみてください!