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なぜ日本は生成AIを使わない?総務省白書が示す「周回遅れ」と「慎重さ」の二面性

 

先日、総務省が公開した「令和7年版情報通信白書」で、日本の生成AI活用に関する、非常に興味深い実態が明らかになりました。こちらの白書の内容はNHKのニュースでも取り上げられてますね!

 

www3.nhk.or.jp

 

結論から言うと、日本は他の主要国に比べて生成AIの活用で大きく遅れをとっている一方で、その背景には日本ならではの慎重な姿勢もうかがえます。

 

この「周回遅れ」とも言える状況と、その裏にある日本の特徴を、白書のデータを元に3つのポイントで見ていきましょう。

 

1. 衝撃的に低い日本の利用率。世界はとっくに先を行っている

 

まず見ていきたいのが、各国の生成AIサービス利用経験率です。

 

生成AIサービス利用経験(国別)

出典:「令和7年版情報通信白書」(総務省

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html

licensed under CC BY 4.0 コモンズ証 - 表示 4.0 国際 - Creative Commons

 

一目瞭然ですが、日本の利用率は主要国の中で圧倒的に低い水準です。2023年から2024年にかけて伸びているものの、なんと2024年の日本の利用率は、アメリカやドイツの2023年のレベルにすら達していません。

 

世界がAIを使いこなし、次のステージに進もうとしている中、日本はまだスタートラインに立てていない、と言っても過言ではないかもしれません。

 

 

2. 「必要ない」が約4割。利用に踏み出せない日本の状況

 

では、なぜ日本ではこれほどまでに利用が進んでいないのでしょうか。白書は、その理由も明らかにしています。

 

テキスト生成AIサービスを利用しない理由

出典:「令和7年版情報通信白書」(総務省) 

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html

licensed under CC BY 4.0 コモンズ証 - 表示 4.0 国際 - Creative Commons

 

利用しない理由のトップは「生活や業務に必要がないから」。次いで「使い方がわからないから」、「魅力的なサービスがないから」と続きます。

 

約4割もの人が「必要ない」と感じているのは深刻な事態です。これは、生成AIがもたらす生産性向上のメリットや、業務が劇的に効率化される可能性が、まだ広く知られていないことを示唆しています。このままでは、利用率は自然には上がっていかないでしょう。

 

3. 日米で異なる使い方。それは「遅れ」か、それとも「慎重さ」か?

 

さらに興味深いのは、利用率だけでなく「使い方」にも大きな違いが見られる点です。

 

生成AI・AIの利用意向(国別)

出典:「令和7年版情報通信白書」(総務省) 

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r07/html/datashu.html

licensed under CC BY 4.0 コモンズ証 - 表示 4.0 国際 - Creative Commons

 

日本では「調べものをする」という、いわば“検索エンジンの延長”としての使い方が多いのに対し、アメリカでは「コンテンツの要約や翻訳をする」「画像や動画を生成する」といった、よりクリエイティブで実践的な用途が上位を占めています。

 

この違いを、単なる「習熟度の差」と見ることもできます。

 

しかし、別の見方もできるかもしれません。 それは、日本のユーザーの「著作権」や「コンプライアンス」に対する意識の高さです。

 

ご存知の通り、AIによる要約・翻訳や、特に画像・動画の生成は、元となるデータの著作権を侵害するリスクが常に議論されています。日本のユーザーは、こうしたリスクに対して非常に敏感であり、無意識のうちに「安全な使い方」である調べものに用途が偏っている、と考えることもできるのではないでしょうか。

 

まとめ:日本の進むべき道とは?

 

今回の白書は、日本の生成AI活用が「周回遅れ」であるという厳しい現実を突きつけると同時に、その背景にある「日本人の慎重さ」という国民性を浮き彫りにしました。

 

とはいえ、著作権を無視して翻訳・要約をしたり、画像・動画をしようというのも問題があります。

 

生成AIの利用の促進は必要なものの、法令を守り適切な利用をしていくことも必要であり、今回の白書はその難しさの実態を表しているのかもしれません。

 

 

 

 

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