米国:で、特許が成立を悪質に遅延させたとして権利行使が認められなかった事例があったのでメモです。いわゆるラッチェスというやつです。
法律の判断は下記にあるので、そちらなどに譲ろうかと思います。
Patent Affirmed as Unenforceable Due to Prosecution Laches | Knobbe Martens - JDSupra
興味深いのはその遅らせた戦略なので、そちらをこちらでは深堀りしていこうかと思います。
まず、今回の特許ですが、いわゆるサブマリン特許とよばれるやつです。
昔の米国の特許制度は、登録されてから17年の特許期間が与えられ、さらに登録されるまで公開されないため、忘れたときに登録がでて公開されて世間の知るところになり肝を冷やすことになることから、サブマリン特許と呼ばれています。
「昔」と言っていることからわかるように、この制度1995年には廃止になっているんです。
なんで20年近く前に廃止なった制度の特許がまだ問題になっているんだよということなのですが、裏道がありまして、廃止前にした出願については審査をやり直しせずに登録になると、いわゆるサブマリン特許としての利益が得られるというものが残っておりました。
そこで、この特許権者ですが、制度廃止前に328件もの関連特許を出して、特許庁の事務能力をパンクさせる作戦に出たそうです。
さらに、特許庁と"Consolidated Agreement"を結び、優先的な出願群をCategory A、急がない出願群をCategory Bとし、Category Aの審査が終わってからCategory Bの審査をするという手はずを結んだそうです。
そうするとCategory Bは、Category Aの出願群の審査が終わるまで手を付けられないので、審査のやり直しをすることなく審査時間を延ばすことに成功したそうです。
ここまで読んだ方はわかると思いますが、今回訴訟で使われたUS8191091はもちろんCategory Bに入っていました。
流石に今はこんな権利化戦略はできないだろうなと思う反面、審査期間をうまく伸ばす方法を考えた今回の特許権者の方法は脱帽だったのでメモです。