気になった特許の話題 -Patent Topics Explorer-

気になった特許等の知的財産の話題やニュースをピックアップしていくブログです! This blog is picking up intriguing IP topics including patents, trade secrets etc. !

 

 

特許

英国: 最高裁もAIのDABUSが発明者となることを許さなかった

英国の最高裁でもAIが発明者になることを否定する判決が出たそうです。 [2023] UKSC 49 Thaler (Appellant) v Comptroller-General of Patents, Designs and Trade Marks (Respondent) https://www.supremecourt.uk/cases/docs/uksc-2021-0201-judgment.pdf …

米国: バイデン政権が高価な医薬品の特許を制限することを検討

主に医薬品に関連するものと思いますが、バイデン政権が価格の高い医薬品の特許を制限することを検討しいてる旨の報道が出ました。 www.cnbc.com www.whitehouse.gov 報道を読んでいくと、今回の枠組みはバイドール法という、「政府の資金が入った発明に関し…

英国: ニューラルネットワーク利用発明は特許法上の発明の対象となるのか?

ニューラルネットワークを用いて、セマンティックに関連するファイルをリコメンドするシステム・方法に関する特許出願が、特許法上の発明の対象となるか争われたEWHC判決が出てきたので、メモ。 Neutral Citation Number: [2023] EWHC 2948 (Ch) https://ww…

米国: 再発行特許で、patent term extensionのissue dateはいつになるのか?

医薬品などは承認に臨床試験が必要であり、その間製品を販売し収益を上げることができないため、特定の期間を延長する特許期間延長制度が米国等で認められています。 米国は、臨床試験より後に特許が発行されると、そのissue dateを起算点として種々の特許期…

米国: USPTOが優先権の要件を法改正後の案件は緩和するPTAB審決を先例として採用

米国では、Dynamic Drinkware, LLC v. National Graphics Inc.事件が過去により、優先権を主張するためには基礎出願の内容からのwritten diecriptionを求める判決がありました。 これにより過去にPTABではクレームレベルで具体的な記載が基礎出願にあること…

スタートアップもPAEのターゲットになっているというレポート

LOT NetworkというPAEからの特許防衛のための枠組みがありますが、そちがら委託したPAEがどのような企業に対して訴訟を行っているかのレポートが興味深かったのでメモ。 PATENT SOURCES AND LITIGATION TARGET CHARACTERISTICS https://lotnet.com/wp-conten…

日本: 構成要件の一部が海外サーバーで実施される場合のシステム特許について大合議

昨日は、お待ちかねのドワンゴv.FC2大合議事件の判決言い渡し日でした。 令和3年特許法改正で導入された日本版アミカスブリーフ制度も利用された点でも注目された事件です。 www.patent-topics-explorer.com 結論としては、報道にあるようにドワンゴの請求を…

日本: 注目の知的財産大合議FC2 v. ドワンゴの判決言渡しは2023年5月26日になるそう

特許権の域外適用が争点となっているFC2 v. ドワンゴ事件が、知財高裁大合議で審議されることになり注目があつまっていました。 www.patent-topics-explorer.com こちら口頭弁論期日が更新され、判決言い渡し日として2023年5月26日があらたに設定されました…

欧州: Post-published evidenceが考慮される基準について拡大審判部の判断が出る

欧州では、出願後に進歩性を主張する際に提出する実験データの証拠が受け入れられる基準について、拡大審判に質問が付託されていました。 事前にpreliminary opinionが拡大審判部からは提示されており、その際は、提出された証拠は原則考慮すべきで、進歩性…

日本: 大学との共同出願が未実施の場合、大学がライセンスできるようガイドライン改訂

日経新聞に下記の記事が出ていたのでメモ。 www.nikkei.com おそらく知財戦略本部での議論についてのニュースかと思われます。資料によるとガイドラインの改訂によって実現をしようとしているようです。 www.kantei.go.jp 記事で挙げているGoogleのStanford…

日本: 特許権の域外適用についてのFC2vドワンゴ事件が大合議に指定

国外サーバーに存在する場合の特許権の域外適用についてに話題になっていましたFC2vドワンゴ事件が大合議に指定されました。 1. 令和4年(ネ)第10046号 特許権侵害差止等請求控訴事件 原審 東京地方裁判所令和元年(ワ)第25152号 当事者 控訴人(原告)株式…

米国: 2022年にNPE訴訟数は予想に反して上昇せず。インフレが寄与か?

Unified Patentsから2022年の米国特許訴訟の統計が発表されました。 www.unifiedpatents.com 景気後退時は、事業会社が特許を売却し資金化する一方、NPEが特許を買いNPEからの特許訴訟が増えると予想されていました。これは以前のリーマンブラザーズ破綻から…

インド: 補正の根拠となるのはクレームだけか?明細書もありか?

日本の実務をしているとタイトルの答えは、当然明細書に書かれた事項も補正の根拠になるだろうと思いますが、なんとインド特許庁は補正はクレームに書かれた事項しか認めないとして拒絶した事例があったそうです。 www.iam-media.com さて、拒絶査定となった…

欧州: 欧州統一特許裁判所は6月1日にオープンするのか?

このブログでは欧州統一特許裁判所等について何回か投稿してきました。現在、欧州統一特許裁判所の開設は2023年6月1日、サンライズ期間の開始は2023年3月1日というタイムラインで動いています。 www.patent-topics-explorer.com www.patent-topics-explorer.…

米国: 米国特許庁がAI発明者について意見募集するそう

正式なNoticeは2023年2月14日に出るそうですが、米国特許庁がAI発明者についての意見募集をするそうです。提出期限はpre-publicationによると、2023年7月1日までになるようです。 Request for Comments Regarding Artificial Intelligence and Inventorship …

日本: 秘密特許制度の基本指針案パブコメへ

先日、秘密特許制度の基本指針案について先日有識者会議で資料が公開された旨を投稿しました。 www.patent-topics-explorer.com その中でパブリックコメントの募集を行うことが言及されていましたが、、、 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_ho…

米国: 知財関連の最高裁口頭弁論期日

現在米国最高裁に係属している知財関連事件の口頭弁論の予定日が下記にのっていたのでメモ! 現在のところこんな形のようです。 Feb 21 – Gonzales v. Google (Does the safe harbor of CDA Section 230 shield Google from liability for encouraging users…

米国: 特許が成立を悪質に遅延させたとして権利行使が認められなかった事例

米国:で、特許が成立を悪質に遅延させたとして権利行使が認められなかった事例があったのでメモです。いわゆるラッチェスというやつです。 法律の判断は下記にあるので、そちらなどに譲ろうかと思います。 Patent Affirmed as Unenforceable Due to Prosecut…

英国: 博士課程で生まれた特許の所有権を大学が持てるか高裁判断

大学がで生まれた発明で問題になるものとして、博士課程などに所属する学生が発明を生んだ場合です。 というのも、学生は大学が雇用しているわけではないため、大学に特許の所有権を移すには、教授などのように雇用されているものと異なる対応が必要になる場…

米国: Web3を代表する分散型組織DAOは特許訴訟ができるのか?

このブログではWeb3を代表する分散型組織DAO(分散型自律組織; decentralized autonomous community)について、よく取り上げてきました。 www.patent-topics-explorer.com 今回、DAOが特許訴訟ができるのかという記事があったのでメモ。 www.kramerlevin.com …

日本: 特許権等の権利回復の要件の緩和が2023年4月から施行予定

令和3年の特許法等の改正で、審査請求などの特定の法定期限の徒過した場合の権利回復要件が緩和する法改正がなされました。こちら改正はされましたがまだ施行されておらず、4月1日から施行が予定されているようです。 こちらの要件ですが、「正当な理由」か…

米国: ポケモンGoを侵害すると主張したNantWorks特許は2つ目の101条違反の地裁判決

ポケモンGoについて米国では、NantWorksが自身の特許を侵害しているとして、ポケモンGoを提供しているNinaticに特許侵害訴訟が繰り広げられていました。 www.finnegan.com 今回米国特許10,664,518について、米国特許法101条の特許適格を満たさないとして、地…

米国: 知財窃盗を防ぐためのProtecting American Intellectual Property Actに大統領サイン

知財窃盗を防ぐためのProtecting American Intellectual Property Actにバイデン大統領がサインを行ったそうです。 President Biden Signs the Protecting American Intellectual Property Act of 2022 | Foley Hoag LLP - JDSupra こちらの法律では、ホワイ…

まとめ: 2022年読まれた記事ランキング

特別お題「わたしの2022年・2023年にやりたいこと」 、、ということで今年の読まれたブログランキングをやろうと思います! 結果は以下になりました!!! ワールドカップ、生成系AI、欧州単一特許/欧州統一特許裁判所、日本特許庁の公報システム刷新、日本で…

米国: 当事者系の特許有効性再審理手続き(IPR)を濫用したとされる当事者にさらなる制裁

当事者系の特許有効性再審理手続き(IPR)を濫用したとされる当事者にさらなる制裁が課されたそうなので、メモ。OpenSkyの事件の追加の制裁の決定はこちらになるようです。 OpenSky download-documents (uspto.gov) Patent Quality Assurance download-documen…

米国: 鬼が笑う? 2023年の米国注目最高裁事件

下記の事件で2023年の注目の米国最高裁事件がまとめられていたので、メモ。 patentlyo.com (1)上告受理された事件 上告受理された事件として、実施可能要件が問題となっているAmgen Inc., v. Sanofi事件が挙げられています。 www.patent-topics-explorer.com…

雑感: AIの発展と法的課題

下記にAIと法的課題についてまとまった記事があったのでメモ。 Image-Generating AI: Trends and Legal Challenges | Holland & Knight LLP - JDSupra 2022年は、AI界隈ではMidjourneyやStable Diffusionと画像生成AIが巷を騒がせたかなという個人的な印象で…

欧州: [待望]欧州特許庁が単一特許の移行期間中の請求のためのフォーマットを開示

本ブログは来年運用開始が予定されている欧州単一特許と欧州統一特許裁判所について何度か記事にしてきました。 現状として、欧州統一特許裁判所は当初の2023年4月1日稼働を2か月後ろ倒しにして、2023年6月1日とされています。 www.patent-topics-explorer.c…

英国: イギリスのEU離れは知的財産でも加速するのか?

2022年9月にイギリスで、Brexit時に保持された特定のEU法を2023年末までに廃止、修正、撤回することを目的として、Retained EU Law法案が提出されたそうです。記事によると、「本法案は、英国の知的財産権に幅広く影響を与える可能性がある。」そうで、メモ…

米国: 【注目】非特許実施主体(NPE)の隠された関係は暴かれるのか?

以前の投稿で、デラウェア地裁の非特許実施主体(NPE)の財務的関係等の詳細な情報を要求するStanding Orderについて触れました。 www.patent-topics-explorer.com 何が問題だったかというと、以前の投稿でも触れましたが、NPEが、訴訟毎に別会社を作り訴訟を…