気になった特許の話題 -Patent Topics Explorer-

気になった特許等の知的財産の話題やニュースをピックアップしていくブログです! This blog is picking up intriguing IP topics including patents, trade secrets etc. !

 

 

書評: 「ソフトウェア開発にChatGPTは使えるのか?」

初版で買って積み残しとなっていた書籍だったが、休み中に読破。 生成AIの利用法として、コーディングは本命の一つだと考えている。プロンプトエンジニアリングは限界があるし、結局自分のやりたい動きをさせたかったら最後はコーディングするしかない。 生…

振返り: 2023年で読まれた記事総まとめ

2023年も残すところ後わずかとなってきました。 今年もどんな記事がよく読まれたのか総まとめをを作ってみました。 ほぼほぼAI関係の雑談記事が上位を占めていて、2023年はまさにAIの年だったなという感じですかね。 2024年もどんな年となるのか楽しみです。…

日本: AIと著作権に関する考え方について(素案)のその他の面白かった論点を拾ってみる

以前もブログで記事にしましたが、2023年12月20日にまだ素案で今後変更などはある状態ですが、文化庁からAIと著作権に関する考え方について(素案)として、最初のドラフトが示されました。 AIと著作権に関する考え方について(素案)(365KB) 文化審議会…

英国: 最高裁もAIのDABUSが発明者となることを許さなかった

英国の最高裁でもAIが発明者になることを否定する判決が出たそうです。 [2023] UKSC 49 Thaler (Appellant) v Comptroller-General of Patents, Designs and Trade Marks (Respondent) https://www.supremecourt.uk/cases/docs/uksc-2021-0201-judgment.pdf …

日本: 生成AIのRAGは侵害になりうるという素案。日本の生成AI終了のお知らせか?

文化庁で生成AIと著作権の考え方が議論されてきていまして、個人的には現在多くのサービスやユーザーが使っているであろうRAGがどのような解釈になるか注目してきました。 www.patent-topics-explorer.com さて、いよいよもって素案が出てきたわけです。 資…

日本: イノベーションボックス税制が与党税制改正大綱に明記される

以前このブログで取り上げたイノベーションボックス税制ですが、自民党の税制改正大綱がでてきました。 www.patent-topics-explorer.com 税制改正大綱はこちらです 令和6年度税制改正大綱 | 政策 | ニュース | 自由民主党 (jimin.jp) イノベーションボックス…

米国: 自身が撮影した写真から生成AIで作成した画像の著作権登録がUSCOで否定される

米国著作権局のreconsiderationプロセスで、生成AIに関連する著作権登録が再び否定されることを容認する決定がでました。 petapixel.com USCOの決定 Microsoft Word - 2023-12-11_SURYAST Review Board Decision Letter_final (copyright.gov) 今回の事件で…

日本: イノベーションボックス税制は実現しそう?

昨年末から経産省などが推し始めた知財に関連する所得税の軽減政策「イノベーションボックス税制」が、自民党で議論され始めたようだ。 経産省の資料に詳しいが、知財に関連する所得の所得税を軽減するが、何を対象にするかなどが議論されているよう。 第2…

米国: ダブルパテントの議論は続く? en banc請求の行方

IN RE: CELLECT事件がCAFCでなされ、パテントファミリー内であっても自明型ダブルパテントが適用される判決がでました。 22-1293.OPINION.8-28-2023_2181381.pdf (uscourts.gov) これに対して、en bancでの審理を求める請求がなされると共に、数々の団体等か…

閑話休題: 変態に技術を持たせた結果がこれだよ! Brainowareの話

AI

脳組織と電子ハードウェアを使った”バイオコンピュータ”という記事。なんだこれはと思ったら本当に脳組織を使った機械学習をしていてびっくりである。 www.nature.com ちなみに論文はこちら www.nature.com さらに探していくと日本語の記事もでてきた。皆さ…

カスタムGPTsを作るときにはリスクを加味する必要がある?

日々進化するChatGPTのサービスですが、有料版では自身の趣向に合わせてチャット形式でコードを描かずにカスタマイズしたボット(通称GPTs)が作れることになりました。 internet.watch.impress.co.jp ノーコードでそこそこのものを作れますし、Assistantsとい…

米国: バイデン政権が高価な医薬品の特許を制限することを検討

主に医薬品に関連するものと思いますが、バイデン政権が価格の高い医薬品の特許を制限することを検討しいてる旨の報道が出ました。 www.cnbc.com www.whitehouse.gov 報道を読んでいくと、今回の枠組みはバイドール法という、「政府の資金が入った発明に関し…

Googleの新AI GeminiをチャットボットBardで使ってみる

Googleが米国時間2023年12月6日にGeminiという新しいAIモデルが発表されました。 japan.googleblog.com Geminiのテクニカルレポートにあるように、インプットはテキストだけでなく、テキスト、音声、画像、動画といったマルチモーダルになっているそうです。…

米国: AIの学習過程が争点のThomson Reuters v. ROSS Intelligenceは陪審含むトライアルへ

AIの学習利用が著作権侵害となるか各国で議論や争いが起きているが、今回Thomson Reuters v. ROSS IntelligenceはFair Useなどの争点について事実の争いがのこされているため、Summary Judgementではなく、陪審含むトライアルに進むOrderが出されたのでメモ…

中国でOpenAIは、GPT-6やGPT-7などまで商標登録出願しているらしい

今年の夏ごろOpenAIがGPT-5の商標登録出願を米国で行っているとして、話題となりました。 実際にUSPTOで調べてみると審査中ですが、GPT-5が商標登録出願がされていることがわかります。 Trademark Status & Document Retrieval (uspto.gov) 一方で、中国でOp…

英国: ニューラルネットワーク利用発明は特許法上の発明の対象となるのか?

ニューラルネットワークを用いて、セマンティックに関連するファイルをリコメンドするシステム・方法に関する特許出願が、特許法上の発明の対象となるか争われたEWHC判決が出てきたので、メモ。 Neutral Citation Number: [2023] EWHC 2948 (Ch) https://ww…

米国: 再発行特許で、patent term extensionのissue dateはいつになるのか?

医薬品などは承認に臨床試験が必要であり、その間製品を販売し収益を上げることができないため、特定の期間を延長する特許期間延長制度が米国等で認められています。 米国は、臨床試験より後に特許が発行されると、そのissue dateを起算点として種々の特許期…

中国: 北京インターネット法院でAI生成画像の著作権が認められたらしい

中国の北京インターネット法院で、AIが生成した画像に対して著作権が認められたそうです。 www.globaltimes.cn global.chinadaily.com.cn ニュースによると、画像はStableDiffusionを用いてtext2imageで作られた画像だったようです。 法院は、AIはあくまでツ…

米国: ニューラルネットワーク発明が具体的な解決手段がクレームにないとして101条違反と地裁で認定された事例

AIの全盛期ですが、米国では101条の特許適格性をいかにクリアーするかがAI特許を取るうえで重要になってきます。 こんかい、ニューラルネットワーク発明が具体的な解決手段がクレームにないとして101条違反と地裁で認定された事例が紹介されていたのでメモ。…

閑話休題: OpenAIの新型AIと噂されるQ*(スター)が話題に

画像生成AIで盛り上がり始めた生成AIブームを、ChatGPTで頂点まで持ち上げたOpenAIですが、Q*(キュースターと読むそう)という新型のAI開発を進めているということをReuterが報じ、一躍話題になっているようです。 gigazine.net 現在のGPTはtransformerの自然…

英国: 並行するUPCでの差止めリスクが英国での早期のtrial日程を促したかもしれない事例

パナソニックの4Gの標準必須特許を巡るXiaomiとの訴訟で、英国の控訴審において、早期にXiaomiが一審での和解条件を受け入れることで早期のtrial日程が組まれた事例が紹介されていました。 www.iam-media.com 欧州ではドイツのbifurcationでの差止めリスクが…

米国: USPTOが優先権の要件を法改正後の案件は緩和するPTAB審決を先例として採用

米国では、Dynamic Drinkware, LLC v. National Graphics Inc.事件が過去により、優先権を主張するためには基礎出願の内容からのwritten diecriptionを求める判決がありました。 これにより過去にPTABではクレームレベルで具体的な記載が基礎出願にあること…

スタートアップもPAEのターゲットになっているというレポート

LOT NetworkというPAEからの特許防衛のための枠組みがありますが、そちがら委託したPAEがどのような企業に対して訴訟を行っているかのレポートが興味深かったのでメモ。 PATENT SOURCES AND LITIGATION TARGET CHARACTERISTICS https://lotnet.com/wp-conten…

日本: 文化庁審議会でAIと著作権の考え方の骨子がでる

文化庁の著作権分科会法制度小委員会でAIと著作権の考え方について議論が進んでいますが、ついに骨子がでることとなりました。 www.bunka.go.jp 参考資料8にもありますが、年内に骨子をベースにドラフト案ができあがり、年度内に報告書を作成するというタイ…

米国: USPTOからGUIやアイコンの意匠登録(デザイン特許)についての審査ガイダンスが出る

USPTOからコンピュータ上であらわされるGUIやアイコンについての意匠登録(デザイン特許)としての適合性についての補助審査ガイダンスが出ました。 www.uspto.gov ガイダンス中では、すべてのアイコンやGUIは意匠登録(デザイン特許)としての適合性を持ってい…

米国: AIの著作権関係の問題に、競争法規制当局も懸念を表明

米国の競争法規制当局であるFTCが、著作権を管轄する米国著作権局に懸念のコメントを提出したそうです。 In Comment Submitted to U.S. Copyright Office, FTC Raises AI-related Competition and Consumer Protection Issues, Stressing That It Will Use I…

類似性が認められれば生成AI画像は著作権侵害?

ショッキングなタイトルの記事が出ていたので見てみたが、内閣府・文化庁の資料を合わせて読んでみた。実際に、下記の記事の本文でも類似性だけで決まるとは書いていないので、少し安心したのでメモ。 pc.watch.impress.co.jp ちなみにこちらが記事のもとに…

日本: 構成要件の一部が海外サーバーで実施される場合のシステム特許について大合議

昨日は、お待ちかねのドワンゴv.FC2大合議事件の判決言い渡し日でした。 令和3年特許法改正で導入された日本版アミカスブリーフ制度も利用された点でも注目された事件です。 www.patent-topics-explorer.com 結論としては、報道にあるようにドワンゴの請求を…

欧州: 統一特許裁判所の開始間近! 第3の中央部はどうなるのか?

以前から欧州単一特許と欧州統一特許裁判所について投稿をしていますが、一度開始が延期されたものの、2023年6月1日の開始向けて今のところ大きな変更はなさそうです。 www.patent-topics-explorer.com 一方、本来中央部が、ミュンヘン、パリ、ロンドンに置…

米国: AIの発明者適格をめぐる米国最高裁上告は受理なし

ブログをさぼっている間に起きた事件も一応幾つかメモしておくことの一つに、AIの発明者適格をめぐるDABUS事件の米国最高裁上告が受理されなかったことをメモ。 *Order List (04/24/2023) (supremecourt.gov) AIと知財などいくつか取り上げてきましたが、DAB…