昨年から文科省著作権分科会の中で議論されてきた「AI と著作権に関する考え方について」の素案ですが、ついに最終版となったそうです。
パブコメ後にあったように、こちらは分科会法制小委員会の考え方を示すものであり、法的拘束力はなく、最終的な判断は司法的判断に委ねられることが最初のページで強調されています。
基本的には現在の著作権法の解釈に則り、現在のAIの状況を解釈した場合どうなるかというところでまとまった形でした。
一方で、まだ裁判例もなく学説も割れているような論点の箇所でもある、AI生成物の著作物性、AI生成物の依拠性の判断、LoRAやRAG等の具体的な応用を含んだ著作権の権利制限規定の考え方、行為主体の考え方などが示されているという上で一読すべきものになっているかなと思います。
また、法制小委員会の委員として関与されていた上野先生の書籍も最新版が出ており、こちらも併せて読むと論点となりうる事項が明確となり、「AI と著作権に関する考え方について」とは異なる考え方もありうる箇所を理解する上で有益だった。