米国でのNFTに関連する商標権と著作権関連の事件として2つ挙げられていたのでメモ!
まず一つ目が、Hermes v. Rothschild事件だそうです。こちらまだ係属中で1月30日からトライアルが開始されるようです。
ことの発端は、RothschildがHermesのファー付きバーキンバッグのデジタル版であるMetaBirkin NFTを制作・販売したことが原因とのことです。Hermesは事故の保有する商標権を侵害として訴訟を起こしました。
一方、米国では、「誤認を与える場合を除き、芸術目的のための名称または標章の使用は必ずしも商標権を侵害しない」というRodger's testというものがあるそうですが、被告のRothschildはこちらを主張しているそうです。
2つ目が、Yuga Labs, Inc. v. Ripps事件です。
Yuga Labsは非常に有名なNFTブランドで、「Brored Ape Yacht Club (BAYC)」というサルのイラストブランドを提供しています。特に、NFTにコミュニティの要素を組み込むことで爆発的な人気を獲得しています。
本件ではそのYuga Labsが、Rippsの提供するRyder Ripps Bored Ape Yacht Club (RR/BAYC) NFTコレクションが、Yuga Labsの商標権・著作権を侵害するとして訴えたものだそうです。
Rippsは先ほどのRodger's testによる商標権の非侵害を主張しましたが、裁判所はRippsのNFTの画像等は、Yuga Labsのものをそのままコピーしたもので芸術性は認められないため、Rippsの主張を退けました。
それに対し、Rippsは著作権の観点で反訴を行い、2つのポイントでこちらが注目を集めているそうです。
一つ目に、Rippsは「Yuga LabsのBAYCの画像はAIが自動抽出しているので著作権で保護されない」と主張しているそうです。これは画像生成AI等が盛り上がっている今非常に面白い論点になりそうです。
ニつ目に、Rippsは「Yuga LabsのBAYCの画像はすでに販売しているので、もはやYuga Labsは著作権を保持していない」と主張しているそうです。これはNFTアートの権利消尽にかかわる問題であり、こちらも面白い論点になりそうです。NFTは保有していても著作権は消尽して空という解釈もあり得るので、NFTの根幹の権利関係に関わってくるかもしれません。
NFTは新しい分野ですが、そちらに付随する知財の問題についての裁判でどのような結果が出るか楽しみですね!