気になった特許の話題 -Patent Topics Explorer-

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ロシア: 商標権で保護された商品を、商標権者の同意なく流通できる計画を練っているそう

なかなか目を引くものですが、以前ギガジンで下記の衝撃的なニュースが出ていました。

 

gigazine.net

 

具体的には、ロシア政府が特許権者の意思と関係なく他社に実施許可(強制実施権)を出した際、非友好国(日本含む)の特許権者(非友好国に市民権を有している場合、その登録地、先取的な事業活動の地、または活動から得られる先取的な利益の地がそれらの国である場合を含む)に対して特許の使用料を払わなくてもよいという決議を出したというものです。

従って、直ちに特許権をタダで踏み倒せるというものではなく、ロシア政府から強制実施権の設定というワンステップは入ることになります。

 

ロシア連邦政府、国家安全保障等のために特許権等を実施することを連邦政府が許可した際の対価に関する決議を公表(2022年3月9日JETRO)

https://www.jetro.go.jp/ext_library/1/_Ipnews/europe/2022/20220309.pdf

 

一方で、下記にあるように、今度はロシアで商標権で保護された商品を、商標権者の同意なく流通できる計画を練っているそうです。

 

www.forbes.com

 

いわゆる並行輸入を狙っているのだと思われ、海外で商標権者から正当に販売されたものをロシアに輸入して販売することを合法化しようということだと思われます。

並行輸入を一定の条件で商標権の侵害とみなさいことは日本においても認められていることなので直ちに問題ということではないといえます。

一方で、その「一定の条件」がどうなるかについては仮にそのような措置がロシアでされるのであれば、注意してみていく必要があるかと思います。

 

戦争になった場合、知的財産権についてもその権利が機能しなくなってしまう可能性があるんですね。