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米国: ブロックチェーンは米国特許法で保護される発明か?

 

アメリカでは、ソフトウェア関連発明等について、特許法上保護される発明のハードルが2014年の最高裁判決以後高くなっています。

 

より詳しく知りたい方は下記のJETROの記事などを参考にしてください。

米連邦最高裁 Alice 社のビジネス方法特許の適格性について判決を下す(2014 年 6 月 23 日, JETRO NY)

https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/n_america/us/ip/news/pdf/20140623.pdf

 

 

 

さて、現在ブロックチェーンは注目の技術になっていますが、今回米国地裁で初めてブロックチェーンに関連する特許が、米国特許法で保護される発明に該当するかが判断されたそうです。

 

www.kramerlevin.com

 

 

 

対象の特許は、US10469250でして、おおよそ下記の権利範囲についての発明になるようです。

 

以下を備えるネットワークノード:

(1)1つまたは複数の処理装置

(2)前記1つ以上の処理デバイスに結合され、前記1つ以上の処理デバイスの少なくとも一部によって実行されるための命令を記憶する記憶デバイス

(3)前記1つ以上の処理デバイスに結合され、ピアツーピアネットワークの少なくとも1つ以上の他のノードと通信する通信サブシステムと

(4)前記1つ以上の処理デバイスに結合されたアイテム分析コンポーネントであって、前記アイテム分析コンポーネントによって生成された測定値からスペクトル分析データおよび3Dスキャンデータを決定するように構成された少なくとも1つのイメージングデバイスを備える、アイテム分析コンポーネントであって、


前記1つまたは複数の処理デバイスが、以下のように前記ネットワークノードを構成するように動作する、方法:


(a)アイテム分析コンポーネントを使用して物理アイテムのインスタンスを分析し、インスタンスの固有の署名を決定し、固有の署名は、物理アイテムのアイテム分析コンポーネントによって生成されたスペクトル分析データおよび3Dスキャンデータから固有の署名を定義するために3D空間マッピングを使用して決定される、ステップと
(b)前記一意の署名を使用して、前記物理的アイテムのインスタンスが、アイテム追跡及び認証サービスを提供するために前記ピアツーピアネットワークによって維持されるブロックチェーンに以前に記録されたかどうかを判断し、前記ネットワークノードによって生成された一意の署名を、3D空間分析技術を使用して以前に記録された一意の署名と比較し、前記一意の署名において定義された前記物理的アイテムの特徴を仮想空間で回転させて以前に記録された一意の署名において定義された特徴とのマッチを決定し、かつ、前記ブロックチェーンに前記一意の署名の記録があるかどうかを判断し
(c)前記インスタンスが過去に記録されているか否かを判断することに応答して、前記物理的アイテムのインスタンスを前記ブロックチェーンに記録する。

 

判決はこちらから

https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.nysd.534347/gov.uscourts.nysd.534347.58.0.pdf

 

 

 

 

まず、裁判所は、 “network nodes,” “processing devices,” “storage device,” “communication subsystem,” “3D scanning and spatial” devices, and “blockchains” are similar to the computer hardware in Aliceとして、最高裁判決と類似のコンピュータハードウェアの構成であることをしてきしています。

 

そして、Plaintiff’s claims are directed at the abstract idea of collecting, analyzing, and storing dataとして、各工程は発明の対象とならないabstract ideaであると一蹴しています。

 

 

 

一方で、アリス最高裁は権利内容がabstract ideaであっても、その組み合わせなどから「特許適格性を有する応用に変換するために必要な発明的概念」があれば、特許法上保護される発明になるとしています(ぶっちゃけ、これが何をすればよいのかの基準は未だあいまいで、特許業界に混乱が起こっています。。。)。

 

特許権者は、「データを独自に記録し、このデータをブロックチェーン認証が維持するP2Pネットワークに記録することで、コンピュータの機能を向上させることができる」という主張をしたようです。

 

しかし、裁判所はこの主張も、「ブロックチェーンは,P2Pネットワークを通じて維持・検証される台帳にすぎず,原告は,本特許がブロックチェーンをどのように改善するのかについて説明していない」として認めませんでした。

 

 

 

単純にブロックチェーンを使うというだけではダメということなのでしょうかね。

 

また、権利範囲では、物理アイテムのアイテム分析コンポーネントによって生成されたスペクトル分析データおよび3Dスキャンデータから固有の署名を定義するために3D空間マッピングを作成するために、ブロックチェーンを組み合わせていますが、これでもダメという判断のようです。

 

今後もブロックチェーン関係の特許の裁判所の判断が出てくると思うので注目ですね!

 

 

 

 

 

US10469250B2