秘密特許制度を含む経済安保法案ですが、以前衆議院で可決したことを投稿しました。
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参議院の内閣委員会でも可決し、明日の11日の本会議で成立する見込みという報道が出ていました。
こちらが10日の委員会での審議で、附帯決議も出たようです。
さて、秘密特許に政府が指定するにあたっては、内閣府が保全審査を行います。
一方で、この保全審査手続きですが、国会答弁によると、現在の弁理士法の規定では、弁理士は相談業務はできますが、書類作成業務はできないというのが政府見解になるようです。
ここらへんは秘密特許制度が施行するまでの間に整備しておいてほしいですね。
○櫻井委員 大臣、これは、出願人にしてみたら、いろいろ手続をして待つわけですから、楽しみに待てるような環境、つまり、特許査定になりそうだったら、手前まで進んでいるんだから、何か新たな、まあ法律に書くことではないかもしれませんけれども、特許査定になりそうですよとかという内示みたいなものを出せると出願人にとって優しいかなと思いますので、その点、御配慮をお願いしたいということで、御要望申し上げます。 あと、次に、六十七条、七十条に関連して、これもお尋ねしたいんですが、保全審査に関して、これは内閣総理大臣に対して出願人が手続することになっていますが、出願代理人、普通、特許出願は弁理士が代理をしておりますけれども、この内閣総理大臣への手続、弁理士が代理できるのかどうか、これについて教えてください。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120804889X01120220323/214
○小林国務大臣 これも櫻井委員にあえて申し上げるまでもないことですけれども、弁理士法四条一項に何が規定されているかといえば、弁理士の業務を、特許、実用新案などに関する特許庁における手続などについての代理事務と規定しております。 この法案における保全審査の手続を担うのは、特許庁長官や経済産業大臣ではなくて内閣総理大臣でございますので、そういう意味で、この弁理士法四条第一項に定めるいわゆる専権業務には該当しませんが、弁護士法あるいは行政書士法など、他の法令に抵触しない範囲内であれば、弁理士がこの制度の保全審査等の手続に関与することが禁止されるものではございません。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120804889X01120220323/215
○櫻井委員 いや、ちょっとそこはすごい曖昧ですね。普通に特許出願をやっているわけですよ。最初は弁理士が代理人をやっていて、ずっと手続をやって、気がついたら特許庁から総理大臣の方に送られちゃっていたと。それで、何かいろいろ来たから、あっ、じゃ、これもよろしくねということで、普通、出願人は代理人たる弁理士にお願いしますけれども、その手続をやったら弁護士法違反とか行政書士法違反になるかもしれないといったら、これは手続できなくなっちゃいますよね。そこはちょっとさすがに明らかにしてくださいよ。 多分、これは法案作業をやっているときに弁理士法の改正までは頭がいかなかったんじゃないかと思いますけれども、今日、特許庁長官、来ていただいていますよね。特許庁長官、ちょっと弁理士法四条を変えて、独占業務ではなくてもいいですけれども、標榜業務でも、この経済安保法の六十七条、七十条の内閣総理大臣の手続、これは弁理士ができるというふうに法改正した方がいいんじゃないですか。よろしくお願いしますよ。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120804889X01120220323/216
○森政府参考人 小林大臣がお答えになった御答弁のとおりでございますが、現行の弁理士法の規定では、他の法令に抵触しない範囲で弁理士が関与することは可能であり、例えば保全審査や保全指定後の手続に関する書類作成業務は行えないわけですが、相談業務に関与することは可能だと考えております。 いずれにせよ、保全審査や保全指定後の手続の詳細は内閣官房国家安全保障局において今後検討すると伺っているところですので、よく相談してまいりたいと思っております。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120804889X01120220323/217
○櫻井委員 いやいや、できない業務があるというんだったら、やはりこれは困りますよ。 ですから、じゃ、行政書士の方にこれは内閣総理大臣へ送られてからまたお願いし直すというふうになったら、お金もかかりますけれども、発明の内容を全部また一から説明しなきゃいけないというようなことにもなりますから、これは出願人にとっては相当不都合といいますか、不便ですよ。是非ここは弁理士が引き続き代理できるように、これはまだ法の施行まで時間があるわけですから、弁理士法改正、今からでも是非進めていただきたいということをお願い申し上げます。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120804889X01120220323/218
第208回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 令和4年3月23日
一方で、保全審査中は外国出願が禁止されるため、事前に政府に見解を求める事前確認制度があります。
こちらは特許についての特許庁への手続きとなるので、弁理士は書面作成業務を含めて代理ができるようです。
○櫻井委員 いや、これはやはりちゃんと補償してもらいたいなと。 領収書等、この部分についてははっきりロスの金額は分かるわけですから、是非お願いしたいなというふうに思いますとともに、今おっしゃられたとおり、迅速に保全審査をやりますということなんですが、ただ、特許出願、今は大分解消されておりますが、渋滞していて、審査請求してから二年間ずっとほったらかしみたいなことも過去にはあったわけですよね。今回は、何件対象になるか分からない、またここで渋滞しちゃったら十か月ぎりぎりになっちゃうかもしれない、そういう心配もあるものですから、確認をさせていただきました。 それから次に、七十九条一項で事前確認というのがございます。 外国出願をしようとする場合にこの事前確認ができるということなんですが、これは必ず外国出願をしなければいけないのか、また、出願済みの国内出願について事前確認することができるのかどうなのか、これも教えてください。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120804889X01120220323/230
○木村政府参考人 お答え申し上げます。 法案第七十九条の事前確認は、外国出願をしようとする者が確認を求めることができるということを規定させていただいております。 一方で、事前確認制度におきましては、外国出願の禁止に該当しない場合であっても外国出願をすることを義務づけるということまでは規定しておりません。 以上でございます。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120804889X01120220323/231
○櫻井委員 それから、この七十九条一項で、弁理士は外国出願をしようとする者の代理をすることはできるんでしょうか。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120804889X01120220323/232
○木村政府参考人 お答え申し上げます。 第七十九条の事前確認制度における確認の求めは、特許に関する特許庁における手続でございます。弁理士は当該手続の代理をすることが可能であると考えているところでございます。 以上でございます。
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/120804889X01120220323/233
第208回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 令和4年3月23日
よくよく考えると、保全審査で特許庁は一次審査を担当し、最終審査は内閣府が担当するので、事前確認制度を特許庁でどこまで際どい判断をしてくれるのかなという気もしました。
今後の基本方針や政令・省令などが整備されるので、注目ですね!
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