米国ではAlice最高裁判決とMayo最高裁判決という2つの101条発明適格性を厳格化する判決が出た後から、どうすれば101条特許適格性を満たすことができることができるかあいまいな状況が生まれており、一部から批判が出ています。
例えば、出生前診断で胎児のダウン症等の症状が知りたい場合、確定診断は羊水検査となりますが流産等のリスクを伴います。
そこで、非侵襲性の診断が望まれていたのですが、従来の母体血清マーカー検査やコンバインド検査は感度が低い問題がありました。一方、近年、新型出生前診断(NIPT)という妊婦さんの血液中に含まれる赤ちゃんのDNA断片を調べることで、高い感度で診断できるという画期的な非侵襲的診断方法が生まれてきました(NIPTとは?|NIPT Japan)。
特許の観点では、NIPTを保護する特許があったのですが、米国では101条特許適格性を満たさないということで無効にされた事例があります!!!(Illumina, Inc. v. Ariosa Diagnostics, Inc. (Fed. Cir. 2020))
こんなこともあり、議会から米国特許庁に報告書の提出が求められていたのですが、先日こちらが提出されたことを投稿しました。こちらにより、法改正の動きが今後活発化するかもしれません。
www.patent-topics-explorer.com
一方で、司法でも特許関係で今年一番注目されている米国最高裁への上告事件として、American Axle & Mfg. Inc. v. Neapco Holdings LLC.事件がありました。詳細は下記の投稿などをご覧ください。
www.patent-topics-explorer.com
現地時間の7月1日に、なんとこちら上告非受理の決定が米国最高裁から出てしまったようです。
Order List (06/30/2022) (supremecourt.gov)
101条特許適格性の混乱は続きますが、このあとどうなっていくのでしょうか・・・?