2020年1月30日にイギリスはEUから離脱しました。いわゆるBrexitです。
さて、知的財産権の観点からは、イギリスとEU間の流通には"消尽"という点に対して不均衡が生じる結果になりました。
ちなみに消尽とは下記の内容です。消尽された製品については特許権の効力が及ばなくなります(特許侵害とならなない)。逆に消尽しないとその製品は依然と特許権を侵害することになります。
特許発明の実施品が、特許権者やライセンシーによって販売されるなど、適法に流通に置かれたときは、その実施品の転売について特許権の効力は及ばないと解されています。このような状態を特許権の消尽と呼び、輸出入が伴わない場合における消尽を特に国内消尽と呼びます。
特許権の消尽(国内消尽)とは - BUSINESS LAWYERS
具体的な状況としては下記のように、EUで正当な権利者から販売された製品は特許権が消尽するのでイギリスでは特許権の侵害となりません。一方で、イギリスで正当な権利者から販売された製品は、EUでは特許権が消尽したとされず、特許侵害となりえます。そのため、イギリスでビジネスをする人がイギリスで商品を買って、EUで売ろうとしたときリスクが出てきてしまうわけです。
そこでイギリスでは現在の特許権を含む知的財産権の消尽のスキームを変更すべきか検討するため、下記の検討が行われていました。
現地時間の2022年1月18日にアップデートがなされまして、結局十分なデータがなく意思決定ができないということでした。
従って、暫くは現在のスキームが続くことになりそうです。