「トラブル事例でわかるアライアンス契約 交渉から終了までのポイントと契約条項例」を読んだので書評です。ベンチャーラボ法律事務所の代表を務める淵邊 善彦先生の書籍です。知財に強いTMI総合法律事務所でパートナーを務められていたようで、ベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を専門とされているようです。
この書籍がほかの契約の説明書籍と一線を画すのは、単に契約の条項を逐次説明するだけでなく、トラブル事例を具体的に挙げて対応策を載せていることです。下記の収録事例を見ていただくとわかりますが、豊富なトラブル事例と対応策が載っています。
契約の説明書籍の難しいところは、内容を説明をされても現実のケースでどこが大事なのかよくわからないところです。本件は具体的なトラブルになった事例をあげ、どうすればよいか上がっているため、どうしてその条項が大事なのかとても大事です。挙げているケースも非常に起こりやすいケースだと思われますので、理解しておくこと大切だと思います。
人間は痛い目をみないとわからない
と言われます。
法務では痛い目をみてから関係する人が動き出すことがままあります。一方、企業の法務では痛い目が会社を吹き飛ばしかねないことになることもあります。そういった意味で事前にトラブル事例を知り、どこに痛い目があるかを知り、対応できる本書はお勧めの書籍です。
淵邊善彦先生の経歴
商品紹介
―アライアンス(提携)を法的な観点から成功に導くために―トラブル事例とその解決策・予防法を解説!●アライアンスに関する法的知識をコンパクトに解説した上で、トラブル事例を紹介し、その解決法や予防法を検討。●著者の経験した案件や裁判例をもとに構成した49事例について、条項例を交えて解説。●アライアンスに関わる経営者・現場担当者・法務担当者の方やアライアンスに関するアドバイスを行う弁護士・コンサルタントの方に向けた一冊。●現場で役立つ実務的な解説に加え、ポイントを絞った裁判例や法令・ガイドラインの紹介、巻末には参考文献リストも収録。
<収録事例>
・秘密情報が相手方の新商品開発に使われた事例
・独占交渉権が侵害された事例
・デューディリジェンス後の破談
・事前に公正取引委員会に相談した事例
・契約締結上の過失が認められた事例
・メーカーに顧客を取られた事例
・大量注文による商品詐取の事例
・代理店手数料の支払に関する紛争
・最低購入数量が達成されなかった事例
・再販売価格の拘束をめぐる紛争
・製造物責任をめぐる紛争
・品質保証をめぐる紛争
・競合品の取扱いに関する紛争
・契約終了時の損失補填をめぐる紛争
・並行輸入をめぐる紛争
・実施権の許諾に関する紛争
・ミニマムロイヤルティ未達成の事例
・ロイヤルティ監査をめぐる紛争
・ライセンサーの保証をめぐる紛争
・改良技術に関する紛争
・ライセンサーの倒産に伴う紛争
・契約終了後の競業避止と秘密保持
・ライセンシーの撤退の事例
・成果物の権利帰属に関する紛争
・共同発明の範囲に関する紛争
・著作物に関する紛争
・共同開発費用に関する紛争
・成果物の特許出願をめぐる紛争
・大学との共同研究開発に関する紛争
・共同研究の公表に関する紛争
・契約終了後の技術流出の事例
・データ提供が問題になった事例
・制作物の特定が足りなかった事例
・受入検査をめぐる紛争
・品質保証・アフターサービスに関する紛争
・委託料の返還をめぐる紛争
・製造物責任に関する紛争
・OEM をめぐる紛争
・過剰な要求による契約終了に関する紛争
・付随契約の扱いに関する紛争
・取締役の善管注意義務をめぐる紛争
・競業禁止に関する紛争
・デッドロックをめぐる紛争
・株式譲渡の方法をめぐる紛争
・表明保証違反の紛争
・プットオプションをめぐる紛争
・国際仲裁による解消事例
・合弁事業の中途解約をめぐる紛争
・中国における合弁事業からの撤退
目次
第1編 アライアンス総論
第1章 アライアンスとは
第2章 アライアンスの種類
第3章 アライアンスのプロセス
第4章 アライアンスと独占禁止法
第5章 アライアンスに関する紛争
第2編 紛争事例
第1章 アライアンス交渉中の事例
第2章 販売提携に関する事例
第3章 技術提携に関する事例
第4章 生産提携に関する事例
第5章 資本提携に関する事例