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著作権&倫理&雑感: イラストの作風を学習するAIを提供するサイトが停止に追い込まれたそう

 

巷で話題になっているようですが、イラストの作風を学習するAIを提供するサイトが、他人のイラストを学習素材として無断利用する対策が不十分と批判を浴び、機能停止に追い込まれたそうです。

 

www.j-cast.com

 

 

 

ここで、今回のサイトmimicは下記のようなAIを提供するサイトだったようです。

 

mimicは、クリエイティブやエンタメに関連するAIの開発などを行うラディウス・ファイブがリリースしたAIイラスト生成サービスだ。最小15枚から最大100枚までのキャラクターイラストをアップロードすると、AIがそれらの特徴を学習し、一定時間(数時間以上)経過後に「そのクリエイター風の独自の新しいイラスト」を生成する。

イラストAI「mimic」運営が「全機能の停止」発表 他人の絵の無断利用リスクで物議...不正対策見直しへ: J-CAST ニュース

 

 

 

著作権は専門ではありませんが、著作権法には30条の4という以下の規定があるので、機械学習に著作物を用いる今回の事例では著作権法的にはどうだったのかということが、今後色んな人に議論されそうですね。

 

(著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)
第三十条の四 著作物は、次に掲げる場合その他の当該著作物に表現された思想又は感情を自ら享受し又は他人に享受させることを目的としない場合には、その必要と認められる限度において、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
 (略)
 情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の解析を行うことをいう。第四十七条の五第一項第二号において同じ。)の用に供する場合
 (略)

 

その他、今回規約でサイトは他人の著作物を無断で学習素材にすることを禁止していたようですし、ネット上ではイラストに学習素材とすることを禁止することを入れるなどの意見がでていました。

30条の4が仮に有効だったとすると、規約等でオーバーライドできるのかというところも議論ででてくるのでしょうか。

 

 

最後に、作風自体は著作権の対象とはなりませんが、"複製"や"翻案"といえる範囲まで類似したイラストがAIが生成したとき、依拠性がなりたつのかというところも興味があるところです。