特許庁から定期的に特許無効審判の期日が開示されますが、面白そうな事件があったのでメモです。
目についた事件はこちらで、丸大食品の特許に対して、プリマハムが特許無効審判をかけた事件です。
https://www.jpo.go.jp/system/trial_appeal/general-koto/document/kousyo/12.pdf
食品業界でこのような無効審判を見ることは少ないので目についたわけです。
実際に丸大食品の今回の争われている特許をみてみるとこんな形のようです。乳酸菌の増殖を抑制することができる製造工程のようです。素人の私から見ると乳酸菌って健康によさそうですが、腐敗等の原因になるそうです。
特許6987918号
【請求項1】
有機酸又はその塩添加肉を高圧処理することを含む、
乳酸菌の増殖が抑制された食肉製品の製造方法であり、
高圧が、100~1000MPaであり、
有機酸又はその塩が、フマル酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、
食肉製品中、有機酸又はその塩の総量が、0.005~0.5質量%である、方法。
【請求項2】
有機酸又はその塩添加肉を高圧処理することを含む、
食肉製品における乳酸菌の増殖を抑制する方法であり、
高圧が、100~1000MPaであり、
有機酸又はその塩が、フマル酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、
食肉製品中、有機酸又はその塩の総量が、0.005~0.5質量%である、方法。
【請求項3】
有機酸又はその塩添加肉が、有機酸又はその塩として、さらに乳酸、ソルビン酸、酢酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種が添加されている肉である、請求項1又は2に記載の方法。
審査過程では、進歩性等の拒絶理由があがっていたそうですが、進歩性の観点では「フマル酸またはその塩」を加えたところが主に主張されて取られたように思われます。
ちなみに、丸大食品って特許出願をどのような傾向で出しているのかということで、J-PlatPatから丸大食品名義の特許をDLして表にしてみると、コンスタントに出願を行っているようです。
一方で、J-PlatPatのエクセルについている審判情報を並べてみると、丸大食品の特許で無効審判が請求されたのは、ヒットした中ではこちらが最初のようです。おそらくちゃんと検索しても数は少ないのかなと思われます。
ちなみにプリマハムはどうなんだという声も聞こえてきそうですが、こちらも同様にプリマハム名義で引っ張ってくると下記です。
ですので、この食肉製品(ハム、ウインナーなど)は、あまり同業の会社同士で無効審判が起こることが少なく、珍しい事件なのかなということが推察されます。
今後どうなるのか面白そうなのでメモ。