日経新聞によると、経済安保法案の中で軍事などにかかわる技術については、特許出願の公開を制限する規定を入れることが検討されているようですね。
経済安保法案、特許の公開制限を先行 適格性評価は後に: 日本経済新聞
通常、特許出願は最先の出願日(優先日)から18か月後に出願公開されますが、米国などでは軍事技術等一定の技術については安全保障の観点から公開を制限する制度を持っています。日本は特許法上明文の規定はないため(二国間協定等による例外はあるそうですが*)、今回一定の技術については公開を制限する制度を経済安保法案の中で作ることを今後検討するようです。
*中山信弘『工業所有権法〈上〉特許法』第2版増補版(2000年、弘文堂、ISBN 978-4335302060)
今後法案ができ、国会通過後政令や省令などが出る中で対象は明らかになっていくかと思いますが、対象になる技術の範囲がどうなるかは実務上は気になるところです。
また、特にニュースは触れてませんが、第一国出願義務はどうなるんだろうという疑問もわきます。国によって対象が異なりますが、自国内の在住者や自国内で生じた発明に係る特許出願について自国に最初に出願する義務を付ける国があります。これにより、自国外に流出する前に自国内の安全保障に関係する技術をチェックする等の要請により存在している制度です。今後の議論により、こちらの制度の話も出てくるのか気になるところです。
話題は少々異なりますが、特許公開公報等の公報のシステム自体も2022年1月より変更となるので、注意が必要ですね。
www.patent-topics-explorer.com