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SPC: 同一特許での単剤と合剤のSPCの取得についてCJEUに質問が付託される

EUにおいては、EU法に基づきSPCという特許期間延長制度が定められています。近年その解釈についての訴訟が多くされることとなっていますが、最終的な解釈はEU法のためCJEUに質問を付託することで行われています。今回フィンランド商事裁判所から新たなSPCに関する質問が付託されたそうです。

 

www.roschier.com

 

対象の製品であるsitagliptin とmetforminの合剤の承認に基づき、EP1412357B1の対応フィンランド特許でSPCが取得できるかということになります。ここで、同一のEP1412357B1の対応フィンランド特許については、先にsitagliptin単剤の承認に基づくSPCが付与されているというところがポイントとなります。

 

ニュースを見る限り今回の争点はSPCの3(c)の解釈ということになるかと思います。単剤と合剤それぞれに基づきどのような場合にSPCが取得できるかは大きな争点のひとつで今までも多くのCJEUの判決があります。ここで、過去に3(a)/3(c)の解釈として示したActavis I (C-433/12) とActavis II (C-577/13)では"core inventive advancement"が必要としていましたが、最近の3(a)の解釈として示したTeva UK (C-121/17) とRoyalty Pharma (C-650/17)では“core inventive advance”を否定し寧ろ当業者の技術常識に基づき明細書に開示されているかといった基準を示しており、3(c)が含まれた場合の解釈で一見矛盾が生じている事態となっています。実際に下記のブログでは同一特許の単剤と合剤それぞれのSPC取得についてEU加盟国間での3(a)、3(c)、3(a)/(c)の適用を巡っては異なる判断が示されている状況もあることを指摘しています。

 

Europe’s highest court to revisit the allowability of combination SPCs - Carpmaels & Ransford - Law Firm

 

今回の質問の付託によって、同一特許の単剤と合剤それぞれのSPC取得についての3(a)、3(c)、3(a)/(c)の適用についてより明らかにするCJEU判決が今後出されるかもしれません。