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日本: 秘密特許(特許出願の非公開)に関する基本指針(案)が有識者会議の資料で公開される

 

先日各種新聞で秘密特許(特許非公開)制度の基本方針案について政府案ができたことが、報道されました。

 

www.patent-topics-explorer.com

 

 

経済安全保障法制に関する有識者会議にて、ついにそちらが公開となりました。

 

経済安全保障法制に関する有識者会議(令和4年度~)

経済安全保障法制に関する有識者会議(令和4年度~)|内閣官房ホームページ

特許出願の非公開に関する基本指針(案)の概要

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/r5_dai5/siryou4.pdf

特許出願の非公開に関する基本指針(案)

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/r5_dai5/siryou5.pdf

 

 

今後は、パブコメに付され、パブコメの内容を検討したうえで有識者会議で審議がなされ、閣議決定に至るという流れのようです。

 

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/r5_dai5/siryou4.pdf

 

 

基本方針案をみまして、個人的に気になったり、面白かったところをピックアップしていこうかなと思います。

 

(1)特定技術分野に関する考え方

 

秘密特許の一次審査対象となる発明ですが、原則は国際特許分類により定めるようですが、必要に応じて「保全審査の対象となる発明の絞り込みという観点から、必要があれば国際特許分類に準じて細分化して定めることとする。」ということのようです。

 

さらに、付加要件という政令で定める要件でさらに絞り込む技術があることも想定されているそうです。「例えば、当初から防衛・軍事の用に供する目的で開発された場合や、国の委託事業において開発された場合など、発明の経緯や研究開発の主体といった技術分野以外の角度からの絞り」等が検討されているそうです。

 

 

(2) 保全指定に関する手続に関する事項

 

保全審査のところは余りサプライズもなく、一方で一次審査を10か月より特定の時期で早くやるべき等といったコミットもなしといった感じです。

 

読んでいて思ったのは、一次審査や二次審査で保全指定かからなくなって公開されることになった場合の、一次審査や二次審査の間の特許庁や関係省庁及び内閣府/内閣官房とのやりとりの公開はどうするのかなというところは気になりました。

 

素直に考えると公開の決定がされた以上一次審査や二次審査の情報も公開されそうな気がします。一方で、一次審査や二次審査の中の情報は公開になる場合でも、機微にかかるものもあるのではないかとおもわれるあため、一律公開とするのかは興味があるところです。

 

 

(3) 保全対象発明の実施の制限 

 

こちら許可が出れば実施できるのですが、その場合ライセンシー等からは許可の申請ができないことが明記されました。特許出願人経由で行っていく必要があるそうです。

 

 

(4) 保全対象発明の開示禁止

 

正当な理由があれば他社への開示ができますが、その具体例がいくつか列挙されています。結構大事かもしれないですね。

 

・ 同一事業者内で、人事異動に伴う後任者への引継ぎや保全対象発明の実施に関する他部署との検討といった業務上の情報共有の必要性が認められる場面において、開示する相手が情報保全の観点から適切な者である場合

・ 法第 76 条第 1 項の規定による承認が得られている発明共有事業者 と共同で保全対象発明を用いた更なる研究を進めるに当たり、研究に参加する当該事業者の職員に発明内容を共有する場合など、業務上の情報共有の必要性が認められる場面において、開示する相手が情報保全の観点から適切な者である場合
保全指定がされた後に特許手続に関与することとなった弁理士に対し、法第 76 条第 1 項の規定による承認を受けた上で、保全対象発明の内容を伝える場合

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/r5_dai5/siryou5.pdf

 

 

(5) 外国出願の禁止

 

日本国内でした発明の定義がなされ、注目すべきは複数国にまたがって行われ場合は発明の完成地を基準にするそうです。

 

「日本国内でした発明」とは、特許出願人の本店所在地等がどこであるかにかかわらず、発明地が日本国内であることを意味し、複数国にまたがって研究・開発が行われた場合には、発明の完成地が発明地となる。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/r5_dai5/siryou5.pdf

 

また、「外国出願」の定義もなされていますね。

 

「外国出願」とは、外国における特許出願及び特許協力条約 (PCT=Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願をいい、政令で定めるものを除くものとされている。「政令で定めるもの」として、例えば、特定の外国政府との間で非公開の特許出願を相互に受け入れ合うことや、特定の条件下でなされた発明について、発明の秘密に関する自国の法律を適用してはならないこととする国際約束が締結されている場合における当該約束に従った当該国への外国出願などが考えられる。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/r5_dai5/siryou5.pdf

 

 

(6) 損失の補填

 

補償の対象となり得る損失例について、別途Q&A等の形で示されるというのはポイントですかね。

 

請求人の予見性を高めるため、補償の対象となり得る損失例について、担当部局において別途 Q&A 等の形で示すこととする。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/keizai_anzen_hosyohousei/r5_dai5/siryou5.pdf