医薬品等は市販までに長期の治験等を行う法律上必要であり、その間は特許期間は経過していくにもかかわらず医薬品等を販売することができません。
そこで、特許法では医薬品などの治験等に要した期間について、一定の限度で特許期間を延長することができます。
一方で、日本においては欧米のように新型コロナウイルスワクチンを緊急で承認する仕組みが存在していませんでした。
そこで、ようやく今回の国会で薬機法が改正され導入されるに至りました。
通常の医薬品は治験で有効性・安全性が確認ができるまで承認がされません。
一方で、緊急承認のスキームでは下記のように、安全性が確認され、有効性が推定されれば、緊急承認を取得することができます。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
さて、この場合、下記の治験開始から①緊急承認までの期間の特許期間を延長するのか、治験開始から②承認までの期間の特許期間を延長するのかという問題が生じます。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令 | 経済産業省 特許庁 (jpo.go.jp)
結論としては、治験開始から①緊急承認までの期間の特許期間を延長するという結論になるそうです。
こちらは、再生医療等製品の条件および期限付き承認で用いられたものと同じ算定方法である程度予想はできたものになります。
一方で、従来の条件および期限付き承認では承認取得後は薬価がつき市販を行うことができました。
しかし、緊急承認は公共性が高いため、市販はできることになっていますが、薬価がどのような運用になるのかは違いがある可能性があるかと思われました。
その場合、そのほかの制度と横並びで期間延長を決めてもよいのかという論点もありますが、こちらは今後の運用を見てというところなのでしょうか。
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