国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センターからAIについてのトレンド調査の報告書が出てきたので、メモ。
AI技術の発展は、以下の3つの潮流で捉えられているようです。
- AI基本原理の発展(さらなる高性能化): 基盤モデル・生成AIの精度・汎用性・マルチモーダル性は向上しているが、資源効率、論理性・正確性、実世界操作(身体性)、安全性・信頼性などに課題があり、次世代AIモデルの研究開発が進められている。
- AIリスクへの対処(社会的要請の充足): AIの応用拡大に伴い、ブラックボックス問題、バイアス問題、脆弱性問題、フェイク問題などが顕在化しており、AIに対する社会からの要請に応えるための研究開発が重要となっている。「信頼されるAI」の実現が急務となっている。
- AI×〇〇(AI活用によるプロセス変革): AI技術を社会、産業、科学など様々な分野で活用し、プロセス変革(DX)を生み出すための技術・フレームワークに関する研究開発。「AI for Science」(AIロボット駆動科学)などが注目されている。
個人的にはAI for Scienceに注目したいですが、以下などがあるようです。仮説生成と探索の自動化が実現してくると、いよいよAIの自律化も近づいてくるかもしれないですね!
仮説生成・探索の自動化:
AIを用いることで、人間の認知限界やバイアスを超えた仮説生成と探索が可能になる。これにより、従来の科学的発見の枠を超えた新しい知識の創出が期待されている。
ハイスループットな仮説評価・検証:
ロボット技術を活用して、仮説の評価・検証プロセスを自動化し、効率化する。これにより、科学研究のスピードと精度が向上し、国際競争力を高めることができる。
国際的なグランドチャレンジ:
「2050年までに生理学・医学分野でノーベル賞級の科学的発見をできるAIシステムを作る」という目標が掲げられ、国際的なプロジェクトとして進行している。英国のアラン・チューリング研究所では、Turing AI Scientist Grand Challengeプロジェクトが進められている。
国内外のプロジェクト:
日本国内では、科学技術振興機構(JST)の未来社会創造事業やムーンショット型研究開発事業などで関連プロジェクトが進行中。これには「ロボティックバイオロジーによる生命科学の加速」や「マテリアル探索空間拡張プラットフォームの構築」などが含まれます。