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米国: AI応用特許のハードルは高い? 初めての控訴審判決に迫る

 

Recentive Analytics v. Fox Corp.という事件で、AI特許の特許適格性(米国特許法101条の適格性)についての初めての控訴審(CAFC)の判決が出たそうです。結果としては、特許が認められず、AI特許についてのハードルは米国では日本とは異なる注意点がある可能性があります。

https://www.cafc.uscourts.gov/opinions-orders/23-2437.OPINION.4-18-2025_2500790.pdf

 

 

今回では、主にテレビのライブイベントのスケジュールを決定するため機械学習の訓練に特徴がある特許(11,386,367 号(’367 patent)および11,537,960 号(’960 patent))と、テレビ放送局向けのネットワークマップを自動的かつ動的に生成することに特徴がある特許( 10,911,811 号(’811 patent)および10,958,957 号(’957 patent))の特許適格性(101条適格性)が争われました。

 

 

裁判所は、これらの特許は、特定の環境(イベントスケジュールの生成およびネットワークマップの作成)における一般的な機械学習技術の使用という抽象的なアイデアに向けられており、特許を受けることができるようにする発明的な概念を含んでいないと結論付けました。その上で、裁判所は、機械学習を新しい分野に適用したり、以前は人間が行っていたプロセスを自動化したりするだけでは、特許適格性を満たさないとしました。

 

 

今回の判決から、既存の機械学習技術を新しい分野に適用するだけでは、特許適格性を満たさない可能性があります。それ以外の何からの特徴を入れておく必要があるかもしれません。特に、Recentive判決は、「確立された機械学習の手法を新しいデータ環境に適用するだけ」では、たとえその適用が新規なデータ環境でも特許適格性を満たさないとされていることは着目すべき点です。

 

 

また、機械学習における「反復的な訓練」や「動的な調整」は、機械学習の汎用プロセスの一部と見なされるため、これらが「技術的な改良」の要件を満たさないとされる場合もあるかもしれません。機械学習への独自の改良や特定の分野に適用する場合の改良点などを含めておくとよりよいかもしれません。

 

 

今回の判決から、AI応用発明で特許適格性を満たすためには、日本とは異なる注意が必要かもしれないことが示唆されます。