気になった特許の話題 -Patent Topics Explorer-

気になった特許等の知的財産の話題やニュースをピックアップしていくブログです! This blog is picking up intriguing IP topics including patents, trade secrets etc. !

 

 

欧州

欧州: 欧州単一特許に関するガイド第2版と改正規則統合版が公表

下記の投稿にもあるように、本ログでは何度か欧州単一特許について投稿してきました。 今まではEU内では特許の効力は単一でなく国ごとであったため、国ごと特許の判断が異なったり、手続きや費用がかさむという問題がありました。導入当初はすべてのEU加盟国…

欧州: EU司法裁判所が「特許の有効性が一審で確認されていない状態で仮差し止めは認められないという判断は排除されるべき」と判断

EU司法裁判所が、特許に関連して新しい判断を示しました。 今回の事件ですが、ドイツのミュンヘン地方裁判所からの「特許がまだ第一審の異議申し立てや無効審判を経ていない状態で、裁判所が仮差し止めなどの仮処分を拒否することが、EU法のエンフォースメン…

アメリカ・カナダ・日本が、EUの中国への知財問題に関するWTO提訴に参戦を希望する

以前EUが中国を知財問題でWTOに提訴という記事を書きました。 背景は下記の投稿等を確認してもらえばと思いますが、最近動きがあったよです。 www.patent-topics-explorer.com さて、WTOに提訴がなされるとまずは当事者の協議が行われます。詳しい手続きは下…

欧州: 一転して特許査定のクレームの文言と明細書の文言を適合させる運用を認める審決がでる。

以前より、2021年の欧州特許庁の審査ガイドラインから厳しくなった特許許可時のクレームと明細書の内容が適合しない場合の対応についてウォッチングしてきました。 今回関連する新しい審判部の判断が出たのでメモです。 誤解を恐れずに書くならば、今回の新…

欧州: 特許期間延長制度(SPC)のEUでのパブコメ始まる! (4/5まで)

以前EUの欧州委員会が、EUの特許期間延長制度であるSPCについて議論を始めることを投稿しました。 www.patent-topics-explorer.com 4月5日までですが、意見募集が開始されています。 Medicinal & plant protection products – single procedure for the gra…

アイルランド最高裁は本当に特許期間延長SPCの質問を付託していたみたい

以前アイルランド最高裁から欧州における特許期間延長制度であるSPC制度に関して、EU法の法令解釈をつかさどる欧州司法裁判所(CJEU)に質問が付託されたという投稿をしました。 www.patent-topics-explorer.com 下記にあるように実際にアイルランド最高裁から…

欧州単一特許の翻訳文は機械翻訳でもよいのか?

下記の投稿にもあるように、欧州単一特許の実現が間近になってきたこともあり、欧州単一特許も盛り上がってきました。今まではEU内では特許の効力は単一でなく国ごとであったため、国ごと特許の判断が異なったり、手続きや費用がかさむという問題がありまし…

欧州: 既存の結晶多型に対して優れた効果を有するとして結晶特許が欧州特許庁審判部で認められた事例

結晶技術がより普及されることで、日本では技術常識・周知技術等を合わせてなかなか結晶特許が認められない状況が続いています。 欧州特許庁審判部で結晶特許の特許性が認められた事例があったのでメモです。 EP2398784はFebuxostatという薬で、日本では帝人…

EU: 統一特許裁判所管理委員会の設立総会が開催!

2月22日に、統一特許裁判所管理委員会の設立総会が開催されたそうです。 下記にあるように、委員会の手続き規則を採択し、その法的枠組みを定めたほか、欧州特許訴訟資格証明書およびその他の適切な資格に関する規則、裁判所の服務および職員規則、財務規則…

EU: アイルランド最高裁からSPCに関する先決裁定の付託がCJEUになされたか?

現地の報道によると、アイルランドの最高裁からCJEUに対して新たな特許期間延長制度であるSPCに関する先決裁定の付託がなされたよう。 A judgment by Justice Peter Charleton, on behalf of the five-judge Supreme Court, referred four questions to the …

書評: 「EU司法裁判所概説」中西 優美子 著

先日も欧州単一特許・欧州統一特許裁判所について投稿しましたが、欧州単一特許・欧州統一特許裁判所もいよいよ現実味を帯びてきました。 www.patent-topics-explorer.com ここで、欧州単一特許はEU法に関するため、その規則の解釈においては欧州司法裁判所…

欧州: EUが中国を知財問題でWTOに提訴!でも理由は何なのか見てみよう!

産経新聞でEUが中国をWTOに提訴するというニュースが下記のように出てきました。 しかし、理由は知的財産権の保護を認めていないという理由ですが、具体的には何か書いていません。 実際に何が問題とEUがしているのか見ていきましょう! www.sankei.com さて…

欧州: 欧州委員会もSEPに関する意見募集を開始! 今年はSEP関係が色々動きそうな予感...?

日本と米国でSEP関係で政府関係機関が議論を開始していることを投稿しました。 www.patent-topics-explorer.com 欧州委員会では、unitary SPC、強制実施権、標準必須特許(SEP)がIP activityの三本柱になっていますが、SEPのライセンスの枠組みに関する意見募…

欧州: 欧州特許庁の審査ガイドラインのセミナー

早速、欧州特許庁の審査ガイドラインのセミナーがあるそうです! 先日の投稿で挙げた、許可予定通知の際の許可クレームと明細書の整合性についても初日からレクチャーに上がっていますね。楽しみな内容です。 第2回の口頭審理もオンライン会議がokになりまし…

欧州: 欧州単一特許の今後のフローチャート予想と、欧州特許庁の欧州単一特許とUPCのセミナー感想

先日欧州単一特許に向けたEPOの経過期間の対応について投稿しました。 www.patent-topics-explorer.com 幾つかの代理人の事務所がなどが対応について記事を書き始めています。 UPC newsflash: EPO announces two transitional measures to enable early upta…

欧州: 欧州特許庁の関係費用が上がるそう -4月1日前に見直しを-

欧州特許庁の関係費用が2022年4月1日から上がるそうです。値上げの詳細は下記です。 もともと欧州特許庁は費用が高めなので、4月1日前にアクションを起こせるものは起こした方がよいかもですね。 www.marks-clerk.com 例えば、下記ではPCT出願を4月1日より…

欧州: 公開された新しい審査ガイドライン案をみてみた

欧州特許庁が、3月1日から適用される新しい審査ガイドライン案が発表されました。 Guidelines for Examination in the European Patent Office (March 2021 edition) www.epo.org 2021年の審査ガイドライン改訂時に、許可時にクレームより広い内容が明細書に…

欧州: 欧州委員会がunitary SPCと新しい強制実施権規則の検討を始めるよう

先日欧州統一裁判所と欧州単一特許が最後の準備期間に入ったことについて投稿しました。 www.patent-topics-explorer.com こちらで特許の効力面でしたり、判断面の欧州での統一がまだまだ道半ばですが進んでいくことになります。 さて、マイナーな話になりま…

欧州: 基礎出願とPCTで異なる出願人名義の際の優先権適格性について、拡大審判部に質問が付託される

欧州特許庁で、基礎出願とPCTで異なる出願人名義の際の優先権適格性について、拡大審判部に質問が付託されたそうです。 www.epo.org こちら米国を基礎とする出願で起こりがちだったことですが、pre-AIAでは米国は出願時に発明者から企業等に出願を譲渡できな…

欧州&セミナー: 欧州特許庁の欧州統一特許裁判所と欧州単一特許のオンラインセミナー

先日、欧州統一特許裁判所と欧州単一特許が稼働に向けておおよそ8か月と見込まれる準備期間についに入ったことなどを投稿しました。 www.patent-topics-explorer.com www.patent-topics-explorer.com 欧州は特許制度および裁判所がまとまっておらず、EUとい…

欧州&セミナー: 欧州特許異議申立てのビデオ参加についての欧州特許庁セミナー

2020年より欧州特許異議申立てがビデオ参加ができるパイロットプロジェクトが開始しました。欧州特許庁からこちらのビデオ参加について無料レクチャーが開催されるそうです。 日本時間で夜10時からなので参加しやすそうな時間帯です。 www.epo.org Oral proc…

欧州: 欧州統一特許裁判所とBrexitとロンドン中央部の場所

欧州特許統一裁判所が実現についに動き出したことを先日投稿しました(①欧州統一特許裁判所と、②特許発行遅延請求や早期欧州単一特許効果申請といった移行期間の欧州単一特許の話です)。 www.patent-topics-explorer.com 先日のBrexitで知的財産権の消尽を取…

欧州: 欧州統一特許裁判所と欧州単一特許 -準備期間開始と、sunrise period & requests for unitary effectへの備え-

欧州は現在特許制度が各国バラバラで、特許の権利化までは欧州特許条約(EPC)という枠組みができましたが、権利行使は各国で行う状況となっています。欧州にはEUという経済圏がありますが、特許の面ではなかなかそのメリットが生かせない原因の一つとなってい…

特許出願で人工知能(AI)は発明者になれるのか?-途中経過-

*本件の内容は2021年12月25日時点の知りうる途中経過をまとめたもので、誤りが含まれていたり、今後各国の行政庁や裁判所等で異なる判断などがされる可能性があります。適宜最新情報や一次情報を調べた上でご判断ください。 背景:人工知能(AI)である"DABUS"…

セミナー: NPEリスクに対する防衛枠組

NEDOのシリコンバレーオフィス主催で、「NPEリスクに対する防衛枠組」というセミナーがオンラインで開催されるそうです。 日本時間の1月29日9:00amから開始とのことなので、日本からも参加しやすい時間帯ですね。 不況時は事業会社が特許を売却し、その後NPE…

書評: 年報知的財産法2021-2022

2022年1月5日発売の年報知的財産法2021-2022を早速購入しました。 仮となっていた中山先生の論稿は、COVID-19ワクチンのTRIPS waiver等を含む特許保護と医薬品アクセスを巡る議論に関する論文で、WTOにおけるTRIPS waiverの議論や、民間主導のライセンスや権…

欧州: 動植物の特許性の例外と拡大審決G3/19の後続の審決を追う!

欧州では、専ら本質的に生物学的な方法によって得られる植物又は動物が53条(2)の特許の例外にあたるかが長く争われたいました。欧州特許庁の拡大審判部は例外を狭く解釈し、「審決G2/12及びG2/13において、EPC第53条(b)の下での植物又は動物の生産のための本…

欧州: 明細書にクレームより広い概念の記載があるときは、許可時に削除しなければならないのか?

背景ですが、これは今年改訂された欧州審査ガイドライン*4にも関係する問題となっています。特許が審査されていく中で、出願時のクレーム(権利範囲)よりも登録時が狭くなるということはよく起こることですが、明細書には通常出願時のクレームの説明が記載さ…

欧州: グレースピリオドについての評価を再度始める

欧州特許庁が、グレースピリオドについての調査を行うようです。下記のように、出芽人のグループに無作為に意見を聞くようです。調査結果は2022年の春ごろにまとめられる予定のようです。 "A randomly selected group of applicants for European patents ar…

欧州: ダブルパテント拡大審決G4/19のその後の結末を追う!

2021年6月22日に欧州拡大審決G4/19*が出され、同日出願間、分割出願間、同じ優先権を伴う出願間でダブルパテントにより拒絶・無効となることが確認されました。欧州特許条約では、明文上ダブルパテントの規定がなく、審査ガイドラインでダブルパテントが規定…